パン用モルトエキスの使い方は?プロの仕上がりに近づく基本とコツを解説

パン用モルトエキスの使い方は?プロの仕上がりに近づく基本とコツを解説
パン用モルトエキスの使い方は?プロの仕上がりに近づく基本とコツを解説
材料選び・代用・計算・保存

パン作りを本格的に始めると「モルトエキス」という材料をレシピで見かけるようになります。特にハード系のパンを作る際には欠かせないアイテムですが、具体的にどんな役割があり、どのように使うのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

パンに使うモルトエキスの使い方をマスターすると、家庭でもパン屋さんのような香ばしい香りと美しい焼き色、そしてふっくらとしたボリュームを再現できるようになります。この記事では、初心者の方でも失敗しないモルトエキスの活用法を詳しくお届けします。

モルトエキスの特徴や計量のコツ、代用品の考え方まで幅広く解説していきます。これを読めば、あなたのパン作りがワンランク上の仕上がりに変わるはずです。ぜひ最後までチェックして、日々のパン作りに役立ててくださいね。

  1. パン作りにおけるモルトエキスの基礎知識と使い方のメリット
    1. モルトエキスとは?原材料や特徴を知ろう
    2. イーストの働きを助けて発酵を安定させる
    3. パンに美しい焼き色と香ばしい風味を与える
    4. 生地の伸展性を高めてボリュームを出す
  2. パン作りでモルトエキスを使うときの実践的な方法
    1. 適正な配合量と計量のコツ
    2. 生地への混ぜ方とタイミングのポイント
    3. 粉末タイプ(モルトパウダー)との違いと使い分け
    4. ぬるま湯に溶かして使うのがおすすめな理由
  3. モルトエキスを使いこなすためのレシピ別ポイント
    1. バゲットやハード系パンでの役割
    2. ベーグルにツヤと独特の食感を出す使い方
    3. 食パンや菓子パンに少量加える効果
    4. 自宅で焼くピザ生地への活用術
  4. モルトエキスがないときに代用できるもの
    1. 砂糖やハチミツで代わりになる?
    2. モルトパウダーで代用する場合の注意点
    3. 水あめやオリゴ糖を使った代用案
    4. 代用品を使う際の発酵時間への影響
  5. モルトエキス使用時の注意点と保存のコツ
    1. 入れすぎると生地がベタつく原因になる
    2. 粘り気が強いため計量スプーンの扱いに工夫を
    3. 開封後の保存方法と使用期限の目安
    4. 酵素の活性が失われないための保管環境
  6. パン作りがもっと楽しくなるモルトエキスの選び方
    1. ユーロモルトなど代表的な製品の比較
    2. ディアスターゼ(酵素)の有無を確認しよう
    3. 初心者が使いやすい少量サイズの見つけ方
  7. モルトエキスの使い方をマスターしてパン作りをワンランクアップ

パン作りにおけるモルトエキスの基礎知識と使い方のメリット

モルトエキスとは、大麦を発芽させた「麦芽(モルト)」から抽出されたエキスのことです。パン作りにおいて、単なる甘味料ではなく、生地の状態を劇的に改善する重要な役割を担っています。

モルトエキスとは?原材料や特徴を知ろう

モルトエキスは、大麦の芽を乾燥させて粉末にした「麦芽」を、お湯に浸して酵素を活性化させ、その液を濃縮したものです。見た目は茶褐色で、水あめのようにドロリとした強い粘り気があります。

一番の特徴は、麦芽に含まれる「アミラーゼ」という酵素の働きです。このアミラーゼが小麦粉の中のでんぷんを分解し、イーストが栄養として食べやすい「糖(麦芽糖)」に変えてくれる性質を持っています。

また、特有の香ばしい風味と自然な甘みがあるため、パンに深みのある味わいを与えてくれます。海外では古くから使われている伝統的な副資材であり、特に欧州のパン作りには欠かせない存在です。

イーストの働きを助けて発酵を安定させる

パンを膨らませるイースト(酵母)は、糖分をエサにして炭酸ガスを発生させます。しかし、砂糖を入れないフランスパンなどのハード系生地では、イーストが食べる糖分が不足しがちです。

ここでモルトエキスが大活躍します。モルトエキスに含まれる酵素が、小麦粉からじわじわと糖を作り出し続けてくれるため、イーストが常に元気な状態で活動を続け、発酵が安定するのです。

特に低温で長時間発酵させる製法では、糖切れを起こしやすいため、モルトエキスのサポートが不可欠です。生地の伸びが良くなり、オーブンの中で力強く膨らむパンを作ることができます。

パンに美しい焼き色と香ばしい風味を与える

パンの表面に食欲をそそる茶色の焼き色がつくのは、糖とアミノ酸が加熱されることによって起こる「メイラード反応」によるものです。モルトエキスはこの反応を促進させる働きがあります。

砂糖を使わないハード系のパンでも、モルトエキスを少量加えるだけで、パリッとした薄く繊細なクラスト(外皮)と、均一で美しい焼き色が手に入ります。これは家庭のオーブンでは特に出にくい効果です。

さらに、焼き上がったパンからは麦の芳醇な香りが漂います。まるでお店で売っているような本格的な香ばしさは、モルトエキスならではの恩恵と言えるでしょう。

生地の伸展性を高めてボリュームを出す

モルトエキスに含まれる成分は、グルテン(生地の骨格)に作用して生地を柔らかく、伸びやすくする性質があります。これを「伸展性(しんてんせい)を高める」と言います。

生地が適度に伸びやすくなることで、発酵中に発生したガスをしっかりと保持できるようになります。その結果、パンが縦に大きく伸び、クープ(切り込み)もパカッと綺麗に開くようになるのです。

もしモルトエキスを使わずにハード系パンを焼くと、生地が硬くなってうまく膨らまず、目が詰まった重いパンになってしまうことがあります。ボリュームのある軽い食感を目指すなら必須のアイテムです。

【豆知識】モルトエキスの種類

モルトエキスには、酵素が生きている「ディアスターゼ・モルト」と、加熱処理で酵素を失活させた「ノン・ディアスターゼ・モルト」があります。パン作りには前者の酵素ありタイプが一般的です。

パン作りでモルトエキスを使うときの実践的な方法

モルトエキスは非常に使い勝手が良い一方で、その形状から扱いには少しコツが必要です。ここでは、失敗しないための具体的な分量や混ぜ方のポイントをご紹介します。

適正な配合量と計量のコツ

パン作りにおけるモルトエキスの使用量は、一般的に「粉の量に対して0.1%〜0.5%」程度と、ごくわずかです。例えば、強力粉200gに対してなら、わずか0.2g〜1g程度ということになります。

この少量を正確に量るには、0.1g単位で計測できるデジタルスケールが必要です。モルトエキスは非常に粘り気が強いため、計量スプーンですくってそのまま量ろうとすると、スプーンに残ってしまい正確な量が入りません。

そこでおすすめなのが、後述する「水に溶かす方法」です。または、爪楊枝の先に少しだけつけて、生地の中に直接入れるという方法もあります。入れすぎると生地がダレてしまうので、量は必ず守りましょう。

生地への混ぜ方とタイミングのポイント

モルトエキスを投入するタイミングは、生地作りの初期段階がベストです。粉と水、イーストを混ぜ合わせる時に、あらかじめ水分の中に溶かし込んでおくのが最も均一に混ざる方法です。

もしホームベーカリーを使用している場合は、水を入れる際に一緒にモルトエキスを溶かし入れてください。直接粉の上に置いてしまうと、そこだけ固まってしまい、生地全体に酵素が行き渡らなくなる恐れがあります。

万が一入れ忘れて、こねの途中で追加する場合は、少量の水で薄めたものを生地に塗り込むようにしてなじませてください。ただし、後入れはムラになりやすいため、基本は最初の仕込み水に混ぜるようにしましょう。

粉末タイプ(モルトパウダー)との違いと使い分け

モルトエキスには液体状のものだけでなく、粉末状の「モルトパウダー」も存在します。効果は基本的に同じですが、モルトエキスの方が一般的に酵素の力が強く、即効性があると言われています。

パウダータイプは粉と一緒に混ぜ込むだけなので扱いが非常に楽ですが、吸湿しやすく固まりやすいのが難点です。一方、液体タイプ(エキス)は保存性に優れ、少量でも効果がはっきりと出やすいメリットがあります。

ハード系のパンで、よりパリッとした質感と風味を追求したい場合は、液体のモルトエキスを選ぶ方が多い傾向にあります。初心者の方であれば、まずはどちらか手に入りやすい方から試してみるのが良いでしょう。

ぬるま湯に溶かして使うのがおすすめな理由

モルトエキスを直接生地に入れるのではなく、仕込み水(ぬるま湯)の一部にあらかじめ溶かしておくのが、プロも推奨する最も確実な使い方です。

モルトエキスは冷たい水には溶けにくい性質があります。30度〜35度程度のぬるま湯であれば、少し混ぜるだけですぐに分散してくれます。こうすることで、生地の中に「モルトの塊」ができるのを防げます。

また、水に溶かすことでアミラーゼ酵素が水分と接触し、生地をこね始めた直後からでんぷんの分解をスムーズに開始してくれます。この一手間が、安定した発酵と美しい焼き色を生む秘訣になります。

計量スプーンにモルトエキスがくっついて取れない時は、スプーンを一度水に濡らしてから使うとスルッと離れやすくなります。ベタつきが気になる場合はぜひ試してみてください。

モルトエキスを使いこなすためのレシピ別ポイント

モルトエキスはすべてのパンに同じ量を入れれば良いわけではありません。パンの種類によって、その役割や適切な量が変わってきます。代表的なパンでの使い方を見ていきましょう。

バゲットやハード系パンでの役割

バゲットやカンパーニュなどのシンプルな配合のパンにおいて、モルトエキスは最大の威力を発揮します。これらのパンには砂糖が入らないため、モルトエキスが唯一の糖分供給源となるからです。

配合量は粉の0.2%程度が目安です。この少量が、クラストのバリッとした香ばしい食感を作り出し、中身(クラム)をふっくらと大きく気泡のある状態に仕上げてくれます。

モルトエキスを入れ忘れると、焼き色が白っぽく、表面が硬くゴツゴツとした仕上がりになりがちです。本格的なバゲットを目指すなら、必ず用意しておきたいアイテムと言えるでしょう。

ベーグルにツヤと独特の食感を出す使い方

ベーグル作りにおいて、モルトエキスは生地の中に混ぜ込むだけでなく、焼成前の「ケトリング(茹でる工程)」で使うというユニークな使い方があります。

お湯にモルトエキスを溶かしてベーグルを茹でることで、生地の表面にあるデンプンとモルトが反応し、焼き上がりに独特の力強いツヤと「むっちり」とした引きの強い食感が生まれます。

ケトリング用としては、お湯1リットルに対して大さじ1〜2程度のモルトエキスを加えます。砂糖やハチミツで代用することも可能ですが、モルトを使うとよりコクのある深い色合いに仕上がります。

食パンや菓子パンに少量加える効果

砂糖を多く使う食パンや菓子パンでは、イーストのエサには困りません。しかし、そこに隠し味程度(粉の0.1%)のモルトエキスを足すと、風味に奥行きが出て、翌日もしっとりとした食感が持続します。

モルトに含まれる酵素の働きで、小麦粉の旨味が最大限に引き出されるため、リッチな配合のパンでも粉の味をしっかりと感じられるようになります。これは大手ベーカリーでもよく使われるテクニックです。

また、生地の伸びが良くなることで、角食パンの角が綺麗に出やすくなったり、菓子パンの形が崩れにくくなったりする効果も期待できます。いつものレシピにほんの少し足すだけで、違いが実感できるはずです。

自宅で焼くピザ生地への活用術

家庭のオーブンでピザを焼くと、温度が十分に上がらず、生地の縁(コルニチョーネ)に美味しそうな焦げ目がつきにくいことがあります。ここで役立つのがモルトエキスです。

生地に0.5%程度のモルトエキスを配合すると、家庭用オーブンの設定温度でも短時間でこんがりとした焼き色が付きます。さらに、冷めても生地が硬くなりにくいというメリットもあります。

クリスピーな薄い生地でも、ナポリ風のふっくらした生地でも効果的です。モルトエキスの働きで、外はカリッと、中はモチッとした本格的なピザを自宅で楽しむことができます。

モルトエキスを配合した生地は、通常よりも焼き色がつきやすくなります。焦げすぎるのを防ぐため、焼き時間は様子を見ながら調整してください。

モルトエキスがないときに代用できるもの

モルトエキスは製菓材料店でないとなかなか手に入りません。「今すぐパンを焼きたいのに手元にない!」というときのために、代用案とその注意点を解説します。

砂糖やハチミツで代わりになる?

イーストのエサを確保し、焼き色をつけるという目的に限れば、砂糖やハチミツで代用することが可能です。分量は、レシピのモルトエキスと同量か、少し多めの1%程度を加えます。

ただし、砂糖やハチミツには「小麦粉のでんぷんを分解する酵素」は含まれていません。そのため、生地を柔らかくしてボリュームを出すという点では、モルトエキスほどの効果は得られません。

ハチミツを使う場合は、モルトエキスに近い風味と保湿性が得られるため、食パンやベーグルなどの代用としては比較的優秀です。しかし、フランスパンの場合は風味が甘くなりすぎるので注意が必要です。

モルトパウダーで代用する場合の注意点

モルトパウダー(粉末)がある場合は、もちろん代用が可能です。一般的にはモルトエキスと同量を粉に混ぜて使いますが、製品によって酵素の強さが異なるため、説明書きを確認しましょう。

パウダーは水に溶かさず、強力粉や塩と一緒にあらかじめ混ぜ合わせてから使いましょう。水分に直接入れるとダマになりやすく、局所的に酵素が働きすぎて生地に穴が空くなどのトラブルの原因になります。

また、パウダータイプは湿気に弱く、開封後に放置すると酵素の力が弱まりやすいです。代用として使う際は、できるだけ新鮮なものを使うように心がけてください。

水あめやオリゴ糖を使った代用案

家に水あめやオリゴ糖がある場合、これらも代用品の候補になります。水あめは麦芽糖(マルトース)を主成分としているため、化学的な構造としてはモルトエキスに近い部分があります。

焼き色を安定させ、生地にツヤを与える効果は期待できますが、やはり酵素の働きはありません。あくまで「焼き色と風味を補う」ための補助的な代用品として考えるのが良いでしょう。

オリゴ糖を使用する場合は、製品によって甘みの強さが異なるため、少量を隠し味程度に使うのがコツです。生地の質感を改善する効果は薄いため、長時間発酵のパンには不向きかもしれません。

代用品を使う際の発酵時間への影響

モルトエキスの代わりとして糖分(砂糖やハチミツなど)を入れた場合、発酵のスピードが通常より早くなることがあります。イーストがすぐに糖を食べられる状態だからです。

一方、モルトエキスに含まれる酵素の働きによる「ゆっくりとした糖化」は行われないため、後半のガス発生力が落ちる可能性もあります。代用時は生地の膨らみ具合を細かくチェックしてください。

特に本格的なバゲット作りの場合、代用品ではモルト独特の「気泡の入り方」や「皮の薄さ」を再現するのは難しいのが実情です。ここぞという本気のパン作りには、やはり専用のモルトエキスを準備するのがおすすめです。

代用品名 メリット デメリット
砂糖 手軽、焼き色が付く 酵素がない、甘みが出すぎる
ハチミツ 風味が良い、保湿性が高い 独特の香りが付く、酵素がない
モルトパウダー 使い勝手が良い 吸湿しやすい、酵素が失活しやすい
水あめ ツヤが出る、安価 粘りが強く扱いにくい、酵素がない

モルトエキス使用時の注意点と保存のコツ

モルトエキスは非常に優れた材料ですが、扱い方を間違えると生地が台無しになってしまうこともあります。長く愛用するための注意点と管理方法を抑えておきましょう。

入れすぎると生地がベタつく原因になる

「たくさん入れればもっと膨らむかも」と、分量以上にモルトエキスを入れるのは厳禁です。モルトの酵素(アミラーゼ)が働きすぎると、生地のでんぷんが分解されすぎてしまいます。

でんぷんが壊れすぎると、生地は保水力を失い、ドロドロとした粘土のような状態(ベタつき)になります。こうなると、成形ができなくなるだけでなく、焼き上がりも団子のような重い食感になってしまいます。

標準的な量は0.1%〜0.5%です。この範囲を大きく超えないように、慎重に計量してください。特に気温が高い夏場は酵素の働きが活発になるため、気持ち少なめに調整するのが失敗を防ぐコツです。

粘り気が強いため計量スプーンの扱いに工夫を

モルトエキスを計量しようとすると、その粘り気に驚くかもしれません。スプーンからなかなか離れず、容器の周りもベタベタになりがちです。これをストレスなく扱う工夫が必要です。

計量する前に、スプーンの表面に軽くサラダ油を塗っておくか、水で濡らしておくと、モルトエキスがツルリと落ちやすくなります。また、容器の口を汚さないように、シリコンベラなどを使うのも良い方法です。

もし容器から垂れてしまったら、すぐに濡れ布巾で拭き取ってください。放置するとカチカチに固まってしまい、蓋が開かなくなる原因にもなります。使い終わった後のケアが、次回の使いやすさを左右します。

開封後の保存方法と使用期限の目安

モルトエキスは糖分が非常に高いため、腐敗しにくい材料ではありますが、湿気や雑菌には注意が必要です。基本的には「冷暗所」または「冷蔵庫」での保管を推奨します。

常温でも保存可能としている製品もありますが、夏場の高温多湿な環境では品質が劣化したり、風味が落ちたりすることがあります。冷蔵庫に入れておけば、1年程度は安定した品質を保つことができます。

ただし、冷蔵庫に入れるとテクスチャーがさらに硬くなるため、使う直前に少し常温に戻すか、お湯でスプーンを温めてからすくうようにしましょう。使用期限は製品ラベルに従い、異臭やカビがないか常に確認してください。

酵素の活性が失われないための保管環境

モルトエキスの命である「酵素」は、熱に弱い性質を持っています。火のそばやオーブンの上など、高温になる場所に放置すると、酵素が壊れてただのシロップになってしまいます。

また、水分が混じってしまうのも厳禁です。濡れたスプーンを直接瓶に入れたりすると、そこから発酵が進んだり雑菌が繁殖したりして、酵素のバランスが崩れてしまいます。

必ず乾いた清潔な道具を使用し、使い終わったらしっかりと蓋を閉めてください。酸素に触れる面積を減らすことで、酸化を防ぎ、フレッシュな麦芽の香りを長く保つことができます。

もしモルトエキスが固まってしまったら、瓶ごと40度程度のぬるま湯で湯煎してください。熱すぎると酵素が壊れるので注意が必要ですが、軽く温めるだけで扱いやすさが劇的に向上します。

パン作りがもっと楽しくなるモルトエキスの選び方

いざモルトエキスを買おうと思っても、メーカーや製品によって違いがあります。自分にぴったりのものを選ぶためのポイントをまとめました。

ユーロモルトなど代表的な製品の比較

パン愛好家の間で最も有名なのは「ユーロモルト」という製品です。イタリア産の大麦を原料としており、プロのベーカリーでも広く採用されています。非常に安定した酵素力と、深い琥珀色が特徴です。

最近では、国内メーカーが家庭用に小分け販売しているものも増えています。基本的には「パン用モルトエキス」と表記されているものであれば失敗は少ないですが、原材料が大麦100%のものを選ぶと安心です。

まれに、風味付けのみを目的とした「酵素を含まないタイプ」のシロップもあります。目的が発酵の安定やボリュームアップであれば、必ず「麦芽酵素含有」というキーワードをチェックしましょう。

ディアスターゼ(酵素)の有無を確認しよう

前述の通り、モルトエキスには「ディアスターゼ(アミラーゼなどの分解酵素)」が含まれているかどうかが極めて重要です。ラベルの成分表示や商品説明をよく読んでください。

もしラベルに「酵素の働きで生地を改善する」といった内容が書かれていれば合格です。逆に、ビール用や飲料用のモルトエキスは、加熱処理によって酵素が失われている場合があるため、パン作りには向きません。

パン専用として売られているモルトエキスであれば、ほとんどの場合ディアスターゼが含まれていますが、初めて購入する際は、製パン材料の専門店(富澤商店やコッタなど)で購入するのが一番確実です。

初心者が使いやすい少量サイズの見つけ方

モルトエキスの使い方は一度に数グラム程度なので、大きな瓶で買うと使い切るのに何年もかかってしまいます。初心者の方は、まず「100g〜200g程度の少量サイズ」を探すのが賢明です。

チューブ入りのタイプなどは、計量もしやすく、空気に触れにくいため保存性も高くておすすめです。大きな缶入りのものは、使い勝手が悪いうえに錆びやすいこともあるため、最初は避けましょう。

近くのスーパーで見当たらない場合は、通販を利用するのが便利です。送料がかかることが多いため、強力粉やドライイーストなどの消耗品と一緒にまとめ買いすると、コストを抑えて手に入れられます。

「モルトシロップ」という名称で販売されていることもありますが、内容が麦芽100%のエキスであれば使い方は同じです。

モルトエキスの使い方をマスターしてパン作りをワンランクアップ

モルトエキスは、パンの見た目、香り、食感を劇的に向上させてくれる魔法のような材料です。使い方の基本は、粉に対して0.2%程度の少量を、あらかじめ仕込み水に溶かしておくというシンプルなものです。

この小さな工夫だけで、イーストの活動が活発になり、家庭のオーブンでも驚くほど美しい焼き色のハード系パンが焼けるようになります。計量の難しさやベタつきといった弱点もありますが、コツを掴めばすぐに慣れるはずです。

代用品として砂糖やハチミツを使うこともできますが、プロのような本格的な仕上がりを目指すなら、ぜひ一度本物のモルトエキスを手に取ってみてください。袋を開けた時の麦の香ばしさと、焼き上がりの感動は、一度味わうと手放せなくなること間違いありません。

これからバゲットやベーグルに挑戦したい方も、いつもの食パンをもっと美味しくしたい方も、モルトエキスを上手に取り入れて、日々のパン作りをもっと豊かで楽しいものにしていきましょう。

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