Viron社の準強力粉「ラ・トラディション・フランセーズ」で焼く極上のフランスパン

Viron社の準強力粉「ラ・トラディション・フランセーズ」で焼く極上のフランスパン
Viron社の準強力粉「ラ・トラディション・フランセーズ」で焼く極上のフランスパン
材料選び・代用・計算・保存

おうちでフランスパンを焼くとき、誰もが一度は憧れるのが「パン屋さんで売っているような、香り高くバリっとしたバゲット」ではないでしょうか。もし、あなたが今の焼き上がりに少し物足りなさを感じているなら、それは「粉」を変えるタイミングかもしれません。

フランスの製粉会社Viron(ヴィロン)社の準強力粉は、多くのプロのパン職人が愛用し、その味わいに惚れ込んでいます。この記事では、Viron社の代表的な粉である「ラ・トラディション・フランセーズ」の魅力や扱い方のコツを、わかりやすく解説していきます。

Viron社の準強力粉「ラ・トラディション・フランセーズ」とは?

フランスパン作りを趣味にする方たちの間で、特別な存在として知られている小麦粉があります。それが、フランスの製粉メーカーMINOTERIES VIRON(ミノトリー・ヴィロン)社が製造する準強力粉、「ラ・トラディション・フランセーズ」です。通称「ラトラ」とも呼ばれ、本格的なバゲットを目指す人々から絶大な支持を集めています。

本場フランスの味わいを再現する「魔法の粉」

Viron社は、フランスの小麦名産地として知られるボース地方に拠点を置く製粉会社です。彼らが作る「ラ・トラディション・フランセーズ」は、その名の通り、フランスの伝統的な製法で作られるバゲット(トラディション・バゲット)のために開発されました。日本では、渋谷や丸の内にある有名ブーランジェリー「VIRON」のバゲット「レトロドール」に使われている粉としても有名です。

この粉の最大の特徴は、フランス産小麦を100%使用している点にあります。日本の一般的な準強力粉とは異なり、フランスの風土が育んだ小麦そのものの個性が色濃く出ています。袋を開けた瞬間から漂う、香ばしく濃厚な香りは、他の粉では味わえない特別な体験をもたらしてくれます。

「レトロタイプ」と呼ばれる理由

「ラ・トラディション・フランセーズ」は、しばしば「レトロタイプ」の粉と表現されます。これは、昔ながらのフランスパンの味わいを追求しているためです。現代の多くの小麦粉は、扱いやすくするために改良が重ねられていますが、この粉はあえて伝統的な風味を重視しています。

用語解説:レトロタイプ
近代的な製パン法に合わせて改良された粉ではなく、昔ながらの風味や食感を再現するために作られた粉のこと。小麦本来の灰分(ミネラル)を多く残し、添加物(ビタミンCなど)を含まないことが多いのが特徴です。

そのため、焼き上がったパンは、クラスト(外皮)が厚くガリッとしており、中身はクリーム色を帯びています。洗練されすぎない、素朴で力強い小麦の味が楽しめるのが、このレトロタイプの大きな魅力と言えるでしょう。

添加物不使用へのこだわり

一般的なフランスパン用粉には、生地の骨格を強くしたり、発酵を安定させたりするために、微量のビタミンCなどが添加されていることがあります。しかし、ラ・トラディション・フランセーズは基本的に添加物を使用していません。これにより、小麦本来の自然な甘みや旨味がストレートに感じられます。

添加物が入っていないということは、生地が人工的に強化されていないことを意味します。そのため、作り手の技術や環境の影響を受けやすくなりますが、その分、上手く焼けたときの感動と美味しさは格別です。まさに「パン作りの腕を試される粉」であり、同時に「作り手を育ててくれる粉」でもあります。

焼き上がりが劇変!Viron社の粉を使う3つのメリット

家庭用のオーブンで焼くフランスパンはどうしてもお店の味に近づけない、と悩んでいませんか?実は、粉をViron社のものに変えるだけで、驚くほど劇的な変化を感じることができます。ここでは、実際にこの粉を使ったときに実感できる、具体的なメリットを3つのポイントで紹介します。

1. 圧倒的な香ばしさと小麦の甘み

Viron社の粉を使う最大のメリットは、なんといってもその「香り」と「味」です。焼き上がりのオーブンを開けた瞬間、部屋中に広がる香りは、まるでフランスの街角にあるパン屋さんに迷い込んだかのよう。焦げた皮の香ばしさの中に、キャラメルのような甘い香りが漂います。

口に入れたときも、その違いは歴然です。噛めば噛むほど、小麦の自然な甘みがじわじわと溢れ出してきます。バターやジャムをつけなくても、パンそのものの味だけで一本食べきれてしまうほどの旨味があります。これは、灰分(ミネラル分)が高めに設定されていることによる恩恵です。

2. コントラストの効いた食感

美味しいフランスパンの条件として、「外はバリっと、中はもちもち」という表現がよく使われますが、ラ・トラディション・フランセーズはこのコントラストが非常に明確に出ます。クラスト(皮)は薄すぎず、しっかりとした厚みと硬さを持ち、ザクザクとした心地よい歯ごたえを生み出します。

一方で、クラム(中身)はしっとりとしていて、非常にもちもちとした弾力があります。口どけも良く、パサつきを感じさせません。この「ガリッ」と「モチッ」のギャップこそが、本場のバゲットの醍醐味であり、この粉を使うことで家庭でもその食感に近づくことができるのです。

3. 美しい気泡とクリーム色の内層

バゲットの断面に見られる大小さまざまな気泡(ボコボコとした穴)は、軽やかな食感を生むために重要です。ラ・トラディション・フランセーズは、適切な加水と発酵をとることで、艶やかで美しい気泡膜を作ることができます。

理想的な内層の特徴・大小の気泡がランダムに入っている(蜂の巣状)

・気泡の膜が薄く、艶がある

・生地の色が真っ白ではなく、やや黄色がかったクリーム色をしている

特に注目したいのが内層の色です。真っ白な日本の小麦粉とは違い、この粉で焼くと、やや黄色味がかったクリーム色に仕上がります。これは小麦の成分が濃厚である証拠であり、見た目からも食欲をそそる美味しさを演出してくれます。

初心者には難しい?Viron社の粉を扱う際の重要なコツ

「Vironの粉は美味しいけれど、扱いが難しい」という声を聞いたことがあるかもしれません。確かに、日本の一般的な準強力粉(リスドォルなど)と比べると、生地作りには少しコツがいります。しかし、ポイントさえ押さえれば決して怖くありません。ここでは、失敗を防ぐための4つの重要なポイントを解説します。

オートリーズを必ず取り入れる

ラ・トラディション・フランセーズを扱う上で最も重要な工程が「オートリーズ」です。これは、粉と水を混ぜ合わせたあと、イーストや塩を入れる前に20分〜30分ほど放置する手法のことです。この時間は、生地にとっての休息時間のようなものです。

この粉は添加物が入っていないため、いきなり捏ね始めるとグルテンが形成されにくく、生地が切れやすくなってしまいます。オートリーズを行うことで、粉が十分に水を吸い、自然とグルテンがつながり始めます。これにより、捏ねる時間を短縮でき、風味を損なわずに伸展性のある生地を作ることができます。

吸水は控えめからスタートする

フランス産の小麦粉は、日本の小麦粉に比べて吸水率が低い傾向にあります。レシピ本で「加水75%」と書かれていても、いきなりその全量の水を入れるのは危険です。まずは68%〜70%程度を目安に水を入れ、生地の様子を見ながら少しずつ足していく方法をおすすめします。

特にVironの粉は、水分を含むと急激にベタつきやすくなる性質があります。最初から水を入れすぎると、ドロドロとしたまとまらない生地になり、成形ができなくなってしまいます。「少し硬いかな?」と思うくらいで止めておき、オートリーズ後に微調整するのが賢明です。

生地温度の管理を徹底する

美味しいバゲットを作るためには、捏ね上げ温度の管理が欠かせません。一般的にフランスパンの捏ね上げ温度は24℃前後が良いとされていますが、ラ・トラディション・フランセーズの場合もこれを守ることが大切です。

メモ:
夏場は粉や水を冷蔵庫で冷やしておきましょう。冬場は逆に、少しぬるま湯を使うなどの調整が必要です。生地温度が高すぎると発酵が早く進みすぎてしまい、小麦の旨味が出る前に生地がダレてしまいます。

低い温度でゆっくりと発酵させることで、この粉特有の甘みと複雑な香りが引き出されます。オーバーナイト法(冷蔵庫で一晩発酵させる方法)とも相性が良いので、温度管理に自信がない場合は、冷蔵発酵を試してみるのも一つの手です。

ベタつく生地は触りすぎない

Vironの粉で作った生地は、どうしてもベタつき(粘着性)が強くなります。これは失敗ではなく、この粉の特性です。このベタつきを嫌がって、打ち粉(手粉)を大量に使ったり、手で強く捏ねくり回したりするのは避けましょう。

成形の際は、生地を優しく扱い、気泡を潰さないように注意します。ベタつく場合は、カード(スケッパー)をうまく使い、手で直接触れる時間をなるべく短くするのがコツです。触りすぎると生地が締まってしまい、ボリュームのない焼き上がりになってしまいます。

Viron社の準強力粉で作るおすすめのパンレシピ

せっかく高品質なViron社の粉を手に入れたなら、そのポテンシャルを最大限に活かせるパンを焼きたいものです。ここでは、ラ・トラディション・フランセーズの特徴が活きる、おすすめのパンの種類を紹介します。バゲット以外にも、様々なハード系パンに活用できます。

王道の「バゲット・トラディション」

やはり一番のおすすめは、シンプルな配合で作るバゲットです。粉、水、塩、微量のイースト(またはモルト)だけで作ることで、Viron社の粉が持つ風味をダイレクトに感じることができます。まずは基本のレシピで、粉の個性を味わってみてください。

クープ(切り込み)が開いてエッジが立ったバゲットが焼き上がれば、その香りと食感に感動すること間違いありません。バターやオリーブオイルはもちろん、ハムやチーズを挟んで「ジャンボン・ブール」などのサンドイッチにするのも最高に贅沢な食べ方です。

風味豊かな「パン・ド・カンパーニュ」

ラ・トラディション・フランセーズは、ライ麦粉や全粒粉とも非常に相性が良いです。準強力粉をベースに、10〜20%程度のライ麦粉を混ぜて「パン・ド・カンパーニュ(田舎風パン)」を作ると、深みのある味わいになります。

Vironの粉が持つ力強い小麦の香りが、ライ麦の酸味や独特の風味をしっかりと受け止め、バランスの良い食事パンに仕上がります。スープやシチューに合わせるパンとして、あるいは肉料理の付け合わせとして、食卓を豊かに彩ってくれるでしょう。

ザクザク食感の「クロワッサン」

意外に思われるかもしれませんが、クロワッサンやデニッシュなどの折り込み生地にも、この粉は適しています。一般的にクロワッサンには強力粉と薄力粉をブレンドすることが多いですが、ラ・トラディション・フランセーズを100%、あるいはメインに使用することで、独特の食感が生まれます。

焼き上がりは「サクサク」というよりも、よりクリスピーな「ザクザク」「バリバリ」としたハードな食感になります。バターの香りに負けない強い小麦の風味があり、食べ応えのある本格的なヴィエノワズリーを作りたい方にはぜひ試してほしい使い方です。

購入方法と保存方法について

スーパーマーケットの製菓材料コーナーでは、なかなか見かけることのないViron社の粉。ここでは、どこで購入できるのか、そして高品質な粉を劣化させずに使い切るための保存方法について解説します。

主な購入場所とサイズ

ラ・トラディション・フランセーズは、主に製菓・製パン材料の専門店で購入することができます。「富澤商店(TOMIZ)」や「cotta(コッタ)」などの実店舗、またはそれぞれのオンラインショップが最も確実な入手ルートです。

販売形態 特徴
1kg(小分け) 家庭での使用に最適。鮮度を保ちやすいサイズ。
2.5kg 頻繁に焼く人向け。コストパフォーマンスが良い。
25kg(業務用) 教室運営者やヘビーユーザー向け。保管場所が必要。

価格は、一般的な国産の準強力粉や、スーパーで売られている強力粉と比較すると、2〜3倍ほど高価になることがあります。しかし、その価格差を補って余りある品質と味わいがあるため、特別な日のパン作りや、自分へのご褒美として選ぶ価値は十分にあります。

美味しさを保つ保存のポイント

この粉は添加物が入っておらず、ミネラル分も多いため、酸化しやすい(味が落ちやすい)というデリケートな一面を持っています。また、梅雨の時期などは湿気を吸いやすく、ダニなどの害虫が発生するリスクもあります。

推奨される保存方法・密閉容器に入れて、空気に触れさせない

・直射日光と高温多湿を避ける

・夏場は野菜室などの冷蔵庫保管がおすすめ

特に夏場は、常温に放置すると粉の温度が上がり、捏ね上げ温度の管理も難しくなります。冷蔵庫(野菜室)で保管しておけば、粉の温度を低く保てるため、パン作りをする際にも好都合です。開封後はなるべく早く、1〜2ヶ月を目安に使い切るようにしましょう。

まとめ:Viron社の準強力粉で理想のフランスパンを焼こう

Viron社の準強力粉「ラ・トラディション・フランセーズ」について、その特徴や魅力、扱い方のコツをご紹介してきました。最後に、今回の内容を振り返ります。

この粉は、フランスの伝統的なバゲットの味を再現するために作られた、まさに「本物」を知る人のための小麦粉です。添加物不使用による小麦本来の甘み、バリっとしたハードなクラスト、そしてクリーム色のもちもちとしたクラムは、他の粉では代えがたい魅力があります。

吸水の調整やベタつきの扱いなど、慣れるまでは少し難しく感じる部分もあるかもしれません。しかし、オートリーズをしっかりと取り入れ、生地と対話するように優しく扱うことで、家庭のオーブンでも驚くほど香り高いパンが焼けるようになります。

「お店のようなバゲットを焼いてみたい」というあなたの情熱に応えてくれるのが、Viron社の準強力粉です。ぜひこの粉を使って、キッチンいっぱいに広がる幸せな香りと、最高の焼き上がりを楽しんでください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました