赤サフと金サフの違いを徹底比較!パン作りの目的に合わせた選び方

赤サフと金サフの違いを徹底比較!パン作りの目的に合わせた選び方
赤サフと金サフの違いを徹底比較!パン作りの目的に合わせた選び方
材料選び・代用・計算・保存

パン作りを始めると必ず目にする「赤サフ」と「金サフ」。どちらもフランスのルサッフル社が製造する「サフ・インスタントドライイースト」のことで、世界中のパン職人に愛用されている定番商品です。しかし、パッケージの色が違うだけで、中身にどのような差があるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。

「レシピに金サフと書いてあるけど赤サフじゃダメ?」「初心者はどっちを買えばいいの?」といった疑問を持つ方のために、今回はこの2つの決定的な違いと、失敗しない使い分けのコツをやさしく解説します。

赤サフと金サフの決定的な違いは「砂糖の量」

パン作りにおいて、赤サフと金サフを使い分ける最大の理由は、生地に含まれる「砂糖の量」にあります。イーストは生き物であり、働く環境(生地の糖分濃度)によって活動のしやすさが大きく変わるからです。まずは、それぞれのイーストが得意とする環境と、その境界線について詳しく見ていきましょう。

赤サフは「低糖質」の生地が得意なスタンダードタイプ

「赤サフ」は、糖分が少ない生地で最も力を発揮するイーストです。具体的には、粉の量に対して砂糖の量が「0%〜12%」程度の生地に適しています。フランスパンやピザ生地のような砂糖を全く使わないパンから、食パンのようなほんのり甘いパンまで、日常的に食べる多くのパンに対応しています。世界中で最も標準的に使われているのがこの赤サフであり、多くのレシピ本で「インスタントドライイースト」とだけ書かれている場合は、基本的にこの赤サフ(または同等の低糖用イースト)を指していると考えて間違いありません。クセがなく、小麦本来の香りを引き立ててくれるのが特徴です。

金サフは「高糖質」の生地でも元気に働く耐糖性タイプ

一方の「金サフ」は、砂糖がたくさん入った甘い生地でも元気に発酵できるように開発されたイーストです。専門用語では「耐糖性(たいとうせい)イースト」と呼ばれます。粉の量に対して砂糖の量が「12%以上」の生地に適しており、最大で30%程度の高糖配合まで対応可能です。

通常、イーストなどの酵母菌は、周囲の砂糖濃度が高すぎると浸透圧の影響で水分を奪われ、活動が鈍くなってしまいます。しかし、金サフはその過酷な環境にも耐えられる強い性質を持っているため、甘い菓子パン生地でもふっくらとボリュームのあるパンを焼き上げることができるのです。

境界線の「砂糖12%」はどう判断する?

赤サフと金サフの使い分け基準となる「砂糖12%」という数字は、ベーカーズパーセント(粉の量を100とした時の割合)で計算します。例えば、強力粉が250gのレシピであれば、砂糖30gがちょうど12%です。砂糖が30g未満なら赤サフ、30gを超えるようなら金サフを使うのがセオリーとなります。

ただし、この12%という数字はあくまで目安であり、厳密に1gでも超えたら発酵しなくなるわけではありません。砂糖の量が10%〜15%前後の「境界線」にあるレシピでは、どちらを使っても焼けることが多いですが、より安定した膨らみを求めるなら、この基準に沿って選ぶのが失敗を避ける近道です。

また、ここでの「糖分」には、上白糖やグラニュー糖だけでなく、はちみつ、コンデンスミルク、メープルシロップなども含まれます。これらを多く加える場合も、生地の糖分濃度が高くなるため、金サフの使用を検討する必要があります。

パン作りの種類別!赤サフと金サフの具体的な使い分け事例

「砂糖の量」と言われても、作りたいパンがどのくらいの糖分を含んでいるのか、パッとイメージするのは難しいかもしれません。ここでは、具体的なパンの種類を挙げながら、赤サフと金サフのどちらを選ぶべきかを解説します。作りたいパンに合わせて、適した色のサフを選んでみましょう。

ハード系パンや食事パンには「赤サフ」

フランスパン(バゲット)、カンパーニュ、リュスティックなどのハード系パンは、砂糖をほとんど使用しません。こうしたシンプルな配合のパンには、迷わず赤サフを選んでください。赤サフは発酵のスピードが穏やかで、時間をかけてじっくり発酵させることで、小麦の旨味や香ばしさを引き出すことができます。また、フォカッチャやピザ生地、ベーグルなども基本的には低糖質の生地で作られることが多いため、赤サフの守備範囲です。毎日の朝食に食べるような、甘くない食事パンを作るなら赤サフが大活躍します。

甘い菓子パンやデニッシュには「金サフ」

メロンパン、あんパン、シナモンロール、ブリオッシュなどの菓子パン類は、砂糖がたっぷり入っているため金サフの出番です。これらのパンに赤サフを使ってしまうと、高い糖分濃度にイーストが負けてしまい、「発酵に何時間もかかる」「思ったより膨らまない」「焼き上がりが硬い」といった失敗につながりやすくなります。

特に、バターと卵と砂糖をたっぷり使うブリオッシュや、ドライフルーツが大量に入ったパネトーネなどは、金サフがないとふんわりと焼き上げるのが非常に困難です。リッチな味わいのパンを作りたい時は、金サフを用意しましょう。

食パンはレシピによって判断が必要

判断に少し迷うのが「食パン」です。一般的な食パンの砂糖配合は5%〜10%程度であることが多く、基本的には赤サフで作ることができます。しかし、最近流行りの「高級生食パン」のような、生クリームやはちみつをたっぷり使い、甘みを強く出したリッチな食パンの場合、糖分が12%を超えることがあります。

ご自身が作りたいレシピの砂糖(および糖分を含む甘味料)の量をチェックし、粉250gに対して砂糖が30gを大きく超えるようであれば、金サフを使った方が釜伸び(オーブン内での膨らみ)が良くなり、ふわふわの食感に仕上がります。

全粒粉やライ麦パンの場合の選び方

健康志向の方に人気の全粒粉パンやライ麦パンはどうでしょうか。これらの粉自体にはイーストの活動を阻害するほどの糖分は含まれていないため、基本的には「赤サフ」を使用します。ただし、全粒粉やライ麦粉はグルテンの形成を邪魔する性質があり、もともと膨らみにくい生地になりがちです。

そのため、あえて砂糖を少し多めに入れて発酵を促進させたり、あるいは逆に砂糖ゼロで作ったりと、レシピの幅が広いです。ここでもやはり基準となるのは「添加する砂糖の量」ですが、特別な甘いライ麦パンでない限りは、赤サフを使用するのが一般的です。

パン作り初心者におすすめなのはどっち?

これからパン作りを始める方にとって、最初から2種類のイーストを揃えるのはハードルが高いかもしれません。「とりあえず1つだけ買うならどっち?」という疑問にお答えします。ご自身のライフスタイルや、どんなパンを焼きたいかによって、最初の相棒を選んでみてください。

最初に買うなら万能な「赤サフ」がおすすめ

もしあなたが「初めてパンを焼く」という場合や、「日常的に食べるシンプルなパンを焼きたい」と考えているなら、まずは「赤サフ」を購入することをおすすめします。世の中のパンのレシピ本やウェブサイトのレシピは、特に指定がない限り赤サフ(一般的なドライイースト)を使用することを前提に書かれていることがほとんどだからです。ピザ、ベーグル、普通の食パン、バターロールなど、基本のパンは赤サフでほぼ全てカバーできます。汎用性の高さで言えば、圧倒的に赤サフに軍配が上がります。

甘いパン作りがメインなら「金サフ」も視野に

逆に、「おやつ用の甘い菓子パンしか焼かない」「ブリオッシュのようなリッチなパンが大好き」という明確な目的がある場合は、最初から「金サフ」を選んでも良いでしょう。また、最近ではホームベーカリーの「早焼きコース」などで、短時間で発酵させるためにあえて発酵力の強い金サフを使用する裏技的な使い方も存在します。しかし、金サフはあくまで高糖質用のスペシャリストですので、砂糖の入っていないフランスパン生地などに使うと、発酵のコントロールが少し難しくなる場合があります。

両方揃えるのが難しい場合の現実的な対処法

理想は作りたいパンに合わせて使い分けることですが、家庭でそこまで在庫を持つのは大変です。現実的な対処法としては、メインで「赤サフ」を持っておき、甘いパンを作る時だけ工夫するという方法があります。例えば、砂糖が多めのレシピを作る際に、赤サフの発酵時間を長めにとったり、イーストの量を少し(1.2倍程度)増やしたりすることで、ある程度カバーすることができます。ただし、パネトーネのような極端に糖分が高いパンだけは、赤サフでの代用は難しいと割り切る必要があります。

メモ:
500g入りの大きな袋はお得ですが、使い切る前に劣化してしまうことが多いです。家庭用であれば、125g入りの小箱タイプか、3gごとに個包装された使い切りタイプから始めるのがおすすめです。

よくある疑問:赤サフと金サフは代用できる?

「手元に赤サフしかないけれど、甘いパンを焼きたい」「金サフが余っているから、フランスパンに使いたい」。そんな時に気になるのが、相互代用の可否です。結論から言えば「代用できなくはないが、ベストな仕上がりにはならない」のですが、具体的にどのような現象が起きるのかを知っておくと、いざという時に役立ちます。

赤サフの代わりに「金サフ」を使う場合

砂糖が少ない生地(フランスパンなど)に金サフを使うことは、実は可能です。発酵自体は進みます。しかし、金サフは糖分を分解する能力が独特で、少ない糖分をものすごいスピードで消費してしまう傾向があります。そのため、発酵のピークが早く来すぎてしまい、熟成された旨味が生まれる前に生地が疲れてしまうことがあります。また、焼き色がつきにくくなったり、独特のイースト臭が残ったりすることもあるため、推奨はされません。「砂糖5%〜12%」くらいの、どっちつかずのゾーンであれば、金サフでも比較的きれいに焼けます。

金サフの代わりに「赤サフ」を使う場合

こちらは注意が必要です。砂糖たっぷりの菓子パン生地(砂糖20%以上など)に赤サフを使うと、浸透圧の影響でイースト菌体内の水分が外に吸い出され、イーストが「脱水症状」のような状態になります。その結果、ガスを出す力が極端に弱まり、いつまで経っても生地が膨らまなくなります。無理に焼いても、キメが詰まった固いパンや、ゴムのような食感のパンになりがちです。砂糖15%程度までなら時間をかければなんとかなりますが、それ以上の高糖質生地には、やはり金サフを使うのが成功への鍵です。

発酵力の違いを理解して調整しよう

どうしても代用しなければならない場合、発酵状態の見極めが非常に重要になります。赤サフを甘い生地に使う場合は、通常よりも発酵に時間がかかることを覚悟し、時間ではなく「生地の大きさ」を見て次の工程に進むようにしてください。逆に、金サフを低糖生地に使う場合は、予想以上に早く発酵が進む可能性があるため、過発酵(発酵しすぎ)にならないよう、こまめに生地の状態をチェックすることが大切です。どちらの場合も、レシピ通りの時間で判断せず、生地の様子を観察する力が試されます。

イーストの品質を保つ正しい保存方法

サフのイーストは非常に優秀ですが、保存状態が悪いとすぐに発酵力が落ちてしまいます。「久しぶりにパンを焼いたら全く膨らまなかった」という失敗の多くは、イーストの劣化が原因です。赤サフも金サフも基本的な保存方法は同じですので、最後まで使い切るための正しい管理方法をマスターしましょう。

開封前は冷暗所でOK、未開封でも期限に注意

開封前のサフ(真空パックの状態)は、常温保存が可能です。直射日光や高温多湿を避けて、食器棚などの冷暗所に置いておきましょう。カチカチに固まっているのは真空状態が保たれている証拠なので安心してください。ただし、賞味期限は必ずチェックを。期限が切れたイーストは、未開封であっても徐々に菌が死滅しており、発酵力が弱まっている可能性があります。特売などで買いだめする際は、使い切れる量かどうかを考えることが大切です。

開封後は「冷蔵庫」または「冷凍庫」へ

一度開封して空気に触れた瞬間から、イーストの劣化は始まります。湿気と酸素、そして温度変化が大敵です。開封後は常温放置せず、必ず低温で保存してください。毎日パンを焼くようなヘビーユーザーであれば「冷蔵庫」でも構いませんが、週に1回焼くかどうかという頻度であれば「冷凍庫」での保存が最もおすすめです。イーストはサラサラの顆粒状なので、冷凍しても凍って固まることはなく、使う時も解凍なしでそのまま生地に混ぜ込むことができます。

密閉容器を活用して劣化を最小限に

保存する際は、とにかく空気に触れさせないことが重要です。袋の口を何重にも折り返して輪ゴムで止めるだけでは不十分な場合があります。おすすめは、密閉できるタッパーに移し替えるか、袋ごとジッパー付きの保存袋に入れ、中の空気をしっかり抜いてから口を閉じる方法です。冷凍庫に入れておけば、半年から1年程度は実用的な発酵力を維持できますが、それでも少しずつ力は弱まっていきます。開封から半年以上経過したイーストを使う場合は、予備発酵をして泡立つか確認するか、念のため新しいものを購入するのが無難です。

劣化チェックの方法:
ぬるま湯に少量の砂糖とイーストを入れて混ぜ、10分〜15分ほど放置してみてください。元気に泡立ってくればまだ使えますが、シーンとして変化がない場合は、そのイーストは寿命を迎えています。

まとめ:赤サフと金サフを使い分けてパン作りをランクアップ

今回は、パン作りには欠かせない「赤サフ」と「金サフ」の違いについて詳しく解説しました。この2つのイーストは、決して優劣があるわけではなく、活躍できる「砂糖の量」というステージが異なるだけです。

基本のおさらいとして、以下のポイントを覚えておけば迷うことはありません。
・赤サフ:砂糖0%〜12%の生地向け(食パン、フランスパン、ピザなど)
・金サフ:砂糖12%以上の生地向け(菓子パン、ブリオッシュ、デニッシュなど)

最初は万能な「赤サフ」からスタートし、パン作りの幅が広がって甘いパンにも挑戦したくなったら「金サフ」を買い足すのが一番スムーズな流れです。それぞれの特性を理解して適切に使い分けることで、パンの膨らみや食感は劇的に向上します。ぜひ、作りたいパンにぴったりの「サフ」を選んで、理想のパン作りを楽しんでください。

 

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