イチゴ酵母を自作する楽しみ!旬の香りを閉じ込めた天然酵母パンの作り方

イチゴ酵母を自作する楽しみ!旬の香りを閉じ込めた天然酵母パンの作り方
イチゴ酵母を自作する楽しみ!旬の香りを閉じ込めた天然酵母パンの作り方
レシピ・種類・自家製酵母

春の訪れとともに店頭に並ぶ鮮やかなイチゴを使って、自家製酵母作りに挑戦してみませんか。イチゴ酵母は、数ある果物酵母の中でもトップクラスの香りの良さと、発酵力の強さが魅力です。自分でイチゴ酵母を自作すると、パンを焼くたびにキッチンが甘く幸せな香りに包まれ、日々の暮らしにささやかな彩りを添えてくれます。

天然酵母作りは一見難しそうに感じるかもしれませんが、コツさえ掴めば初心者の方でも失敗なく楽しめます。市販のイーストとは一味違う、複雑で深い味わいのパンが焼けるようになると、パン作りの世界がぐっと広がります。この記事では、イチゴ酵母の起こし方からパンへの活用法まで、初めての方にも分かりやすく丁寧に解説します。

イチゴ酵母を自作するメリットと適した時期の選び方

自家製酵母の世界へ一歩踏み出すなら、イチゴは非常におすすめの素材です。イチゴ酵母を自作することで得られる最大の喜びは、何と言ってもその芳醇な香りと、焼き上がったパンのしっとりとした質感にあります。ここでは、なぜイチゴが酵母作りに向いているのか、その理由と最適なシーズンについて解説します。

イチゴ酵母ならではの華やかな香りと風味

イチゴ酵母の最大の魅力は、他の果物にはない圧倒的な香りの良さです。酵母液を作っている段階から、部屋中に甘い香りが漂い、それだけで幸せな気持ちになれます。この香りはパンを焼いた後もしっかりと残り、一口食べるごとにイチゴのほのかな風味を感じることができるのです。

また、イチゴに含まれる糖分や成分は酵母の栄養になりやすく、非常にパワフルな発酵力を発揮してくれます。自家製酵母は発酵に時間がかかるイメージがありますが、元気なイチゴ酵母なら比較的スムーズにパンを膨らませてくれます。焼き上がりのクラム(中身)が非常にしっとりと仕上がるのも、イチゴ酵母で作るパンの大きな特徴と言えるでしょう。

さらに、イチゴの赤い色素がわずかに生地に移り、ほんのりピンクがかった可愛らしいパンが焼けることもあります。見た目、香り、味の三拍子が揃った贅沢なパン作りを楽しめるのが、自作イチゴ酵母の素晴らしいポイントです。

失敗しにくい時期と美味しいイチゴの選び方

イチゴ酵母作りを成功させるためには、イチゴの旬と鮮度を見極めることが重要です。最も適した時期は、イチゴが安価で豊富に出回る2月から4月頃の最盛期です。この時期のイチゴは糖度が高く、酵母の餌となる栄養がたっぷり含まれているため、発酵が非常にスムーズに進みます。

選ぶ際のポイントは、できるだけ完熟していて、香りが強いものを選ぶことです。少し形が不揃いなものや、お買い得品として売られているパックでも十分ですが、傷みがないかだけは注意して確認してください。カビが生えているものは避ける必要がありますが、熟しすぎて柔らかくなっているくらいのものが、実は酵母作りには最適です。

可能であれば、無農薬や減農薬のイチゴを選ぶのがベストです。酵母は果実の表面に生息しているため、皮を剥かないイチゴは農薬の影響を直接受けやすいからです。スーパーで購入した一般的なイチゴを使用する場合は、水でさっと優しく洗ってから使用するようにしましょう。

自家製酵母で作るパンの深い魅力

市販のドライイーストは、短時間で安定してパンを膨らませるために純粋培養されたものですが、自家製酵母は様々な微生物が共生しています。この多様な菌たちが、時間をかけてじっくりと小麦の旨味を引き出し、奥深い味わいを作り出してくれます。イチゴ酵母を自作して焼くパンは、噛めば噛むほど甘みが増し、独特の風味を楽しむことができます。

また、自家製酵母パンは老化(乾燥して硬くなること)が遅く、翌日になってもパサつきにくいという特徴があります。これは、発酵の過程で生成される成分が生地の保水性を高めてくれるためです。自分自身の手で育てた酵母を使ってパンを焼くという行為は、まるでペットを育てるような愛着が湧き、完成した時の達成感も格別なものになります。

添加物を一切使わず、イチゴと水と少しの糖分だけで作る天然酵母は、体にも優しく、安心して食べられるのも嬉しい点です。忙しい日常の中で、ゆっくりと時間をかけて発酵を待つひとときは、贅沢なマインドフルネスの時間にもなるでしょう。素材の力信じて待つ喜びを、ぜひイチゴ酵母作りで体感してみてください。

イチゴ酵母作りに必要な材料と道具の準備

イチゴ酵母を自作するプロセスにおいて、最も重要なのは「清潔さ」と「素材の質」です。特別な機械は必要ありませんが、雑菌の繁殖を防ぐために適切な道具を選び、しっかりと準備を整えることが成功への近道となります。まずはキッチンにあるものを確認し、足りないものを揃えることから始めましょう。

準備すべき基本の材料(イチゴ・砂糖・水)

イチゴ酵母液を作るための材料は非常にシンプルです。メインとなるイチゴ、酵母の栄養となる糖分、そして清潔な水の3つだけです。これらのバランスが整うことで、元気な酵母が育つ環境が出来上がります。まずは以下の分量を目安に準備をしてみてください。

【イチゴ酵母液の基本配合】

・イチゴ:100g〜150g(ヘタを取った状態)

・水:200ml〜300ml(浄水またはミネラルウォーター)

・砂糖(または蜂蜜):大さじ1

水は塩素の含まれていない浄水や、硬すぎない軟水のミネラルウォーターを使用するのが望ましいです。水道水を使う場合は、一度沸騰させて冷ましたものを使用すると安心です。糖分は上白糖でも構いませんが、キビ砂糖や蜂蜜を使うと、酵母がより活発に働きやすくなります。イチゴ自体にも糖分は含まれていますが、少量の砂糖を加えることで発酵の立ち上がりが早まり、失敗のリスクを減らすことができます。

消毒が肝心!使用する道具と煮沸消毒の方法

自家製酵母作りにおける最大の敵は、空気中や道具に付着している雑菌です。特にイチゴ酵母は糖分が多いため、雑菌も繁殖しやすい環境にあります。使用するガラス瓶や混ぜるためのスプーンは、必ず煮沸消毒を行ってから使用してください。煮沸消毒は、鍋に水を張って道具を入れ、沸騰してから5分以上煮ることで完了します。

ガラス瓶は、容量500ml程度の広口のものが使いやすくておすすめです。蓋がしっかりと閉まるタイプを選びましょう。煮沸した後は清潔な布巾の上で自然乾燥させ、手で内側に触れないように注意してください。プラスチック製の容器は高温に弱く、細かい傷に菌が入り込みやすいため、基本的にはガラス製の容器を使用することを強く推奨します。

また、酵母を混ぜるための長いスプーンや、イチゴをカットする際に使う包丁・まな板も同様に清潔な状態にしておきましょう。少しの手間を惜しまず、衛生的な環境を整えることが、美味しいイチゴ酵母を自作するための鉄則です。清潔な道具を使うことで、酵母だけが優位に繁殖できる環境を作ることができます。

酵母を元気にするための副材料の選び方

基本の材料だけでも十分に酵母は作れますが、より確実に、そして元気な酵母を育てたい場合には、いくつかの副材料を加えるのも一つの手です。例えば、少量のレーズン(オイルコーティングなしのもの)を加えると、レーズンに付着している強力な酵母がイチゴ酵母の発生を助けてくれます。イチゴの香りを邪魔しない程度に数粒入れるだけで効果があります。

また、モルトエキス(麦芽糖)を砂糖の代わりに使用するのもおすすめです。モルトエキスはパン用酵母の大好物であり、発酵力を強める効果があります。ただし、これらはあくまで補助的なものです。新鮮で美味しいイチゴが手に入れば、イチゴ自身の持つ力だけで素晴らしい酵母が出来上がります。

イチゴは洗うべきか、そのまま使うべきか悩むところですが、市販品の場合は「さっと水洗いして、水気をよく拭き取る」のが一番安全です。水気が残っていると腐敗の原因になるため、キッチンペーパーなどで丁寧に水分を拭き取ってから瓶に入れましょう。

副材料をあれこれ詰め込みすぎるよりも、まずはシンプルな配合でイチゴのポテンシャルを信じて作ってみるのが、自作の醍醐味を味わうポイントです。材料が揃ったら、いよいよ仕込みのステップに進みましょう。

失敗しないイチゴ酵母の具体的な作り方手順

準備が整ったら、いよいよイチゴ酵母を仕込んでいきましょう。イチゴ酵母の自作は、温度管理と観察が非常に大切です。毎日少しずつ変化していく瓶の中の様子を見るのは、理科の実験のようでとても楽しい作業です。ここでは、仕込みから完成までの流れを詳しく順を追って説明します。

下準備からビン詰めまでのポイント

まず、イチゴはヘタを丁寧に取り除きます。ヘタの隙間には汚れが溜まりやすく、雑菌の原因になることがあるため、根元から綺麗にカットしてください。大きいイチゴの場合は半分または4等分にカットすると、果汁や糖分が水に溶け出しやすくなり、酵母が活発に動き始めます。カットすることでイチゴの香りがより強く引き出されるというメリットもあります。

消毒済みの瓶に、カットしたイチゴ、砂糖、そして水を入れます。この時、瓶の口までいっぱいに水を入れるのではなく、上部に2〜3センチ程度の空隙(くうげき)を残しておくことが重要です。酵母は呼吸をするために酸素を必要とし、発酵が進むとガスが発生するため、余裕を持たせておく必要があるからです。

材料を入れたら、清潔なスプーンで軽くかき混ぜて砂糖を溶かします。蓋を軽く閉めたら仕込みは完了です。最初は水が透明ですが、時間が経つにつれてイチゴの色が溶け出し、美しいピンク色の液体に変化していきます。この段階から、すでに愛着が湧き始めることでしょう。

発酵中の温度管理と毎日のメンテナンス

仕込んだ瓶は、直射日光の当たらない常温の場所に置きます。酵母が活発に働く理想的な温度は25度から28度前後です。春先なら室温でちょうど良いことが多いですが、冬場などは暖かい場所に置く工夫が必要です。逆に、30度を超えるような高温になると雑菌が繁殖しやすくなるため、注意してください。

毎日のメンテナンスとして欠かせないのが「空気の入れ替え」と「攪拌(かくはん)」です。1日に1〜2回、瓶の蓋を開けて新しい空気を取り込み、瓶を優しく振るかスプーンで静かにかき混ぜてください。これにより、酵母に酸素が行き渡り、沈殿している酵母を均一に分散させることができます。

仕込んでから2〜3日経つと、イチゴが少しずつ浮き上がってきます。これは、イチゴの中に酵母が作り出した二酸化炭素が入り込み、浮き輪のような役割を果たすためです。この頃から、蓋を開けた時に「プシュッ」という小さな音が聞こえ始め、甘酸っぱい発酵臭が漂い始めます。これが順調に進んでいるサインです。

完成のサインを見極める3つのチェックポイント

イチゴ酵母の完成時期は、環境によりますが通常4日から7日程度です。完成を見極めるためには、以下の3つのポイントをチェックしてください。まず1つ目は「気泡の様子」です。瓶の底から絶え間なく細かい泡がシュワシュワと立ち上がり、イチゴが完全に水面まで浮き上がっている状態が理想的です。

2つ目は「音と動き」です。瓶を軽く振った時に、シャンパンのように激しく泡が立ち上がり、蓋を開けた時に大きな「プシュッ!」という音がすれば、発酵力は十分です。3つ目は「香り」です。イチゴの甘い香りに加えて、ワインのような少しアルコールを感じる爽やかな香りがしていれば完成です。もし、嫌な酸っぱい臭いや、カビのような臭いがした場合は失敗ですので注意してください。

完成した酵母液は、茶こしなどでイチゴを濾して取り除き、液体だけを清潔な瓶に入れ替えます。完成後は冷蔵庫で保存してください。冷蔵庫に入れることで発酵のスピードが落ち着き、1ヶ月程度はパン作りに使用することができます。ただし、時間が経つと少しずつ発酵力が落ちるため、なるべく早めに使い切るのがおすすめです。

自作のイチゴ酵母液を元種に育てる方法

イチゴ酵母液が出来上がったら、そのままパン作りの水分として使うこともできますが、より安定してパンを膨らませるためには「元種(もとだね)」を作るのが一般的です。元種とは、酵母液と小麦粉を混ぜて発酵させた、いわばパン作りのための「スターター」です。元種を作ることで、パンのボリュームが出やすくなり、風味もより安定します。

酵母液から「元種(もとだね)」を作る理由

なぜ手間をかけて元種を作るのかというと、それはパン生地の中で酵母が働きやすい環境をあらかじめ作っておくためです。酵母液は液体なので酵母の密度が低い場合がありますが、粉と合わせて発酵させることで、酵母を爆発的に増やし、パンを膨らませる力を最大化できます。また、元種を作る工程で粉の熟成が進むため、パンの旨味がさらに深まります。

さらに、自作のイチゴ酵母液の状態をチェックする役割もあります。元種がしっかりと膨らめば、その酵母は非常に元気であり、本番のパン作りでも失敗する確率がぐんと低くなります。逆に、元種がなかなか膨らまない場合は、酵母液自体の力が弱いと判断できるため、リカバリーの対策を立てることができます。

元種は一度作ってしまえば、継ぎ足していくことで長く使い続けることも可能です。イチゴの香りが最も強く感じられるのは最初の数回ですが、その後のパン作りにおいても、自作酵母ならではのしっとり感や旨味は継承されていきます。パン作りを本格的に楽しみたいなら、ぜひ元種作りに挑戦してみてください。

全粒粉や強力粉を使った元種の継ぎ方

元種の作り方は「かけ継ぎ」という方法で行います。基本的には、酵母液と小麦粉を同重量(または同容量)で混ぜ合わせる作業を3回ほど繰り返します。使用する粉は、栄養価が高く酵母が活発になりやすい全粒粉を1回目に使い、2回目以降は強力粉を使うのがおすすめです。以下に一般的な手順をまとめました。

回数 混ぜる内容 作業のポイント
1回目 酵母液 50g + 全粒粉 50g 粉っぽさがなくなるまで混ぜ、2倍になるまで常温で置く。
2回目 1回目の種 100g + 水 50g + 強力粉 50g 同様に混ぜて発酵させる。徐々に気泡が増えてくる。
3回目 2回目の種 200g + 水 50g + 強力粉 50g しっかり膨らむのを確認。完成後は冷蔵庫で一晩休ませる。

各回とも、混ぜた後に元の容積の2倍から2.5倍くらいまで膨らんだら、一度冷蔵庫に入れて休ませます。これを繰り返すことで、酸味が抑えられ、発酵力の強い安定した元種が完成します。容器は高さのあるものを選ぶと、膨らみ具合が分かりやすくて便利です。3回目まで終わる頃には、元種からもイチゴのフルーティーな香りが漂っているはずです。

元種の保存方法とリフレッシュのタイミング

完成した元種は、冷蔵庫の野菜室などで保存します。冷たい環境でも酵母はゆっくりと生きていますが、エサとなる糖分(小麦粉)を使い切ってしまうと、次第に元気がなくなり、酸味が出てきます。そのため、週に1回は「リフレッシュ(種継ぎ)」を行うのが理想的です。

リフレッシュの方法は、残っている元種の一部を取り出し、それと同量の水と小麦粉を加えて再び発酵させるだけです。パンを焼く前日にこの作業を行うと、常に元気な状態でパン作りに挑めます。もし、長期間パンを焼かない場合は、元種を小さく繋いでおくか、冷凍保存も可能ですが、やはり定期的に新しい粉を入れてあげることが酵母を長生きさせるコツです。

元種の状態が悪くなってくると、表面に水分が浮いてきたり、アルコール臭が強すぎたりします。そのような時は、思い切って新しい酵母液で作り直すか、リフレッシュの回数を増やして様子を見てください。イチゴの時期が終わっても、大切に育てた元種はあなたの家の「家の味」として馴染んでいくことでしょう。

イチゴ酵母を使ったパン作りのおすすめレシピ

元種が完成したら、いよいよパンを焼きましょう。イチゴ酵母の自作をしたからこそ味わえる、最高の瞬間です。イチゴ酵母はどんなパンにも合いますが、まずはその香りと風味を存分に楽しめるレシピから試してみるのがおすすめです。ここでは、初心者の方でも挑戦しやすい2つのスタイルと、困った時の対処法を紹介します。

香りを活かしたシンプルなカンパーニュ

イチゴ酵母の繊細な風味をダイレクトに味わうなら、油脂や卵を使わないシンプルな「カンパーニュ(田舎パン)」が最適です。小麦粉、水、塩、そして自作の元種だけで作るこのパンは、噛むほどにイチゴの微かな甘みと、天然酵母特有の酸味が調和した深い味わいを楽しめます。外側はパリッと、中はもっちりとした食感に仕上がります。

材料の目安は、強力粉200gに対して、元種を60g〜80g程度使用します。天然酵母のパンは、ゆっくりと時間をかけて発酵させるのがコツです。一次発酵は常温で6時間〜10時間、または冷蔵庫を活用して一晩(オーバーナイト)じっくり寝かせます。時間をかけることで、イチゴ酵母が小麦の旨味を最大限に引き出してくれるのです。

焼き上がったカンパーニュにナイフを入れると、中からふんわりとイチゴの香りが立ち上ります。まずは何もつけずにそのまま、次に少しのバターやクリームチーズを添えて食べてみてください。自作した酵母だからこそ感じられる、生命力溢れる美味しさにきっと驚くはずです。スープやシチューとの相性も抜群ですよ。

ふんわり甘いイチゴのミルクちぎりパン

イチゴのイメージに合わせて、少し甘めの菓子パンにするのも素敵なアイデアです。牛乳や練乳を生地に加えた「ミルクちぎりパン」は、イチゴ酵母のフルーティーな香りとミルクのコクが重なり、まるでお菓子のような贅沢な味わいになります。お子様にも喜ばれること間違いなしのメニューです。

こちらのレシピでは、水のかわりに牛乳を使用し、バターを少量加えることで、よりソフトでリッチな食感を目指します。元種の発酵力がしっかりしていれば、副材料が入ってもきちんと膨らみます。型に小さく丸めた生地を並べて焼くちぎりパンは、成形も簡単で失敗が少なく、焼き上がりの見た目も可愛らしく仕上がります。

さらにアレンジとして、生地の中にドライイチゴを練り込んだり、仕上げにイチゴパウダーを振ったりすると、より「イチゴ感」を強調できます。自作のイチゴ酵母が持つ自然なピンク色を活かすために、焼き色を抑えめに白く焼き上げるのもおすすめです。ふんわり、しっとりとした口溶けは、自家製酵母ならではの魅力です。

酵母の力が弱いと感じた時のリカバリー法

初めてイチゴ酵母を自作した場合、どうしても発酵がゆっくりで「ちゃんと膨らむかな?」と不安になることがあります。もし、予定の時間になっても生地がほとんど大きくならない場合は、無理に焼き進めず、少しリカバリーを試みてみましょう。最も簡単な方法は、暖かい場所(30度程度の発酵器など)に移して気長に待つことです。

それでも動きが鈍い場合は、少量のインスタントドライイーストを微量(ひとつまみ程度)補う「ハイブリッド方式」にするのも一つの手です。自家製酵母の風味を活かしつつ、イーストの力で膨らみを補強できるため、失敗して生地を無駄にする心配がありません。「天然酵母100%」にこだわりすぎず、まずは楽しくパンを完成させることが大切です。

元種が余ってしまった時は、パンケーキやスコーンの生地に混ぜてみてください。発酵させずにそのまま使うことで、独特の風味とコクが加わり、いつものおやつがランクアップします。

また、発酵不足のまま焼いてしまうと、重たく硬いパンになってしまいます。生地の表面に気泡が見え、指で押した時にゆっくり戻ってくるくらいの状態になるまで、酵母のペースに合わせて待ってあげましょう。その「待つ時間」こそが、自家製酵母パン作りを美味しくする隠し味なのです。

トラブルを未然に防ぐ!イチゴ酵母自作の注意点

イチゴ酵母の自作は楽しいものですが、生き物を扱っているため、時には思い通りにいかないこともあります。特に初心者が直面しやすいのが「カビ」や「異臭」といったトラブルです。これらを未然に防ぎ、安全に美味しい酵母を育てるための注意点と、もしもの時の見極め方を詳しく解説します。

カビが生えてしまった時の見分け方と対処法

最も多いトラブルは、瓶の中にカビが発生してしまうことです。イチゴ酵母の表面に現れる白いモコモコしたものや、黒・青・赤などの色がついた斑点は、明らかに雑菌(カビ)の繁殖です。この状態になったら、残念ですがその酵母液はすべて破棄してください。カビの胞子は液全体に広がっている可能性が高いため、一部を取り除くだけでは不十分です。

ただし、勘違いしやすいものとして、白い膜のようなもの(産膜酵母)があります。これはカビではなく、空気を好む酵母の一種で、香りが悪くなければ混ぜ込んでしまっても問題ありません。見分け方は「盛り上がっているか(カビ)」か「平面的に広がっているか(産膜酵母)」です。判断が難しい場合は、安全を優先して作り直す勇気を持ちましょう。

カビを防ぐためには、とにかく道具の消毒を徹底することと、1日1回は必ず瓶を振って、イチゴの表面が常に酵母液で濡れている状態にすることです。液体から出ているイチゴの部分からカビが発生しやすいため、攪拌(かくはん)して乾燥させないことが最大の防御策となります。

アルコール臭や酸っぱい臭いがする原因

発酵が進むと、良い状態でもわずかにアルコールのような香りがしますが、ツンとするような刺激臭や、鼻を突くような酸っぱい臭いがする場合は注意が必要です。これは、発酵の温度が高すぎたか、発酵時間が長すぎたこと(過発酵)が主な原因です。また、乳酸菌などの雑菌が優勢になってしまった時にも酸味が強くなります。

イチゴ酵母を自作している際に、あまりにも早く(1〜2日など)激しく発酵しすぎる場合は、置いている場所の温度が高すぎる可能性があります。逆に、1週間経っても変化がない場合は、温度が低すぎるか、酵母のエサが足りていない可能性があります。臭いを確認して、爽やかなフルーティーさが失われていると感じたら、それは酵母のピークを過ぎている合図です。

完成した酵母液を冷蔵庫で保存している間も、少しずつ熟成は進みます。長期間放置すると酸味が増していくため、パンにした時に「酸っぱいパン」になってしまうことがあります。新鮮なうちに使い切るか、前述のリフレッシュを丁寧に行うことで、美味しい香りをキープすることができます。

長期間安定して楽しむための管理のコツ

イチゴ酵母のシーズンが終わっても、育てた酵母を長く楽しみたい場合は、徹底した管理が必要です。元種として継いでいく場合、容器の汚れにも気を配りましょう。種継ぎのたびに新しい清潔な容器に移し替えることで、縁に付着した古い生地から雑菌が入るのを防ぐことができます。

また、酵母の元気がないと感じた時は、無理に小麦粉だけで繋ごうとせず、少量の砂糖や、新しい果物の絞り汁などを与えて「活入れ」をしてあげてください。酵母も私たちと同じように、適切な栄養と環境が必要です。時には室温に出して、ゆっくりと呼吸をさせてあげる時間も必要です。

【安定管理の3ヶ条】

1. 道具の消毒は毎回必ず行う

2. 温度変化の少ない場所で保管する

3. 酵母の「顔色(気泡と香り)」を毎日観察する

イチゴ酵母を自作するプロセスを通じて、自然の力の不思議や面白さを肌で感じることができるはずです。失敗を恐れず、まずは1パックのイチゴから始めてみてください。自分で育てた酵母で焼くパンの味は、どんな高級パン屋さんのものよりも、あなたにとって特別なものになるはずです。

まとめ:イチゴ酵母を自作してパン作りをもっと豊かに

イチゴ酵母を自作することは、単にパンの材料を作るだけでなく、日常の中に「育てる喜び」と「待つ楽しみ」を取り入れる素敵な体験です。鮮やかなイチゴから生まれる元気な泡と、部屋中に広がる甘い香りは、手作りならではの贅沢と言えるでしょう。市販のイーストでは決して出せない、しっとりとした質感と深い小麦の旨味を一度知ってしまうと、もう元のパン作りには戻れなくなるかもしれません。

成功の秘訣は、清潔な道具を使うこと、旬の完熟イチゴを選ぶこと、そして毎日優しく声をかけるように観察することです。もし一度で上手くいかなくても、それは環境や素材との相性によるものです。何度も挑戦するうちに、あなたの家の環境にぴったりの、力強い酵母が育つようになります。この記事を参考に、ぜひこの春はイチゴ酵母の自作に挑戦して、世界に一つだけの香り高いパンを焼き上げてください。

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