トラディショナル準強力粉で本格フランスパン!特徴から使い方まで

トラディショナル準強力粉で本格フランスパン!特徴から使い方まで
トラディショナル準強力粉で本格フランスパン!特徴から使い方まで
材料選び・代用・計算・保存

お家でフランスパンを焼いてみたものの、「なんだか皮がパリッとしない」「中身の気泡がうまくできない」「お店のような香ばしい香りが足りない」と悩んだことはありませんか?もしかすると、その原因は「粉選び」にあるかもしれません。レシピ本でよく見かける「準強力粉」という言葉。その中でも、本格的なハードパンを目指す人に選ばれているのが「トラディショナル」と呼ばれる種類の粉です。

いつもの強力粉や薄力粉のブレンドから卒業し、専用の粉を使うだけで、あなたの焼くパンは劇的に変わります。まるでパリの街角にあるブーランジェリーのような、バリッとした厚みのある皮と、クリーム色をした甘みのある中身。そんな憧れのパンを実現するための鍵が、この粉には隠されています。今回は、パン作り愛好家の間で根強い人気を誇る「トラディショナル準強力粉」について、その特徴から他の粉との違い、そして失敗しない使い方まで、やさしく丁寧に解説していきます。

トラディショナル準強力粉の基本と特徴

パン作りのレシピを見ていると登場する「準強力粉」という言葉ですが、そもそも強力粉とは何が違うのでしょうか。まずは、トラディショナル準強力粉がどのような位置づけの粉なのか、その基本的な性質について見ていきましょう。

準強力粉ってどんな粉?強力粉との違い

小麦粉は主に含まれるタンパク質(グルテン)の量によって分類されます。もっともタンパク質が多く、モチモチとした弾力の強いパンが焼けるのが「強力粉」。逆にタンパク質が少なく、サクサクとしたお菓子に使われるのが「薄力粉」です。「準強力粉(じゅんきょうりきこ)」は、ちょうどその中間に位置する粉で、別名「フランスパン用粉」とも呼ばれています。

一般的な強力粉のタンパク質含有量が11.5%〜13%程度であるのに対し、準強力粉は10%〜12%程度です。このわずかな数値の差が、焼き上がりの食感に大きな影響を与えます。強力粉で作るパンはボリュームが出てふんわりとしますが、フランスパンのような「歯切れの良さ」や「皮のパリパリ感」を出すには、グルテンが強すぎない準強力粉が適しているのです。

「トラディショナル」という名前の由来と製品

「トラディショナル」という言葉には「伝統的な」という意味がありますが、パン作りの世界でこの名前が出る場合、大きく分けて二つの意味を持っています。一つは、イーストフードや乳化剤などの添加物を使わず、小麦粉、水、塩、イーストのみで作る「伝統的な製法のフランスパン(パン・トラディショネル)」のこと。もう一つは、日清製粉などが販売している「トラディショナル」という具体的な商品名の準強力粉です。

特に日本のホームベーカリーやパン作り愛好家の間で「トラディショナル」と言うと、後者の製品を指すことが一般的です。これは、有名なブーランジェリー「メゾンカイザー」のエリック・カイザー氏と日清製粉が共同開発した粉としても知られています。フランスの伝統的なパン本来の味を日本の家庭でも再現できるように設計されており、粉自体のポテンシャルが非常に高いのが特徴です。

独特な香りと焼き色の秘密

トラディショナル準強力粉の最大の特徴は、その深い「風味」と「香り」にあります。これを決定づけているのが、小麦粉に含まれるミネラル分を示す「灰分(かいぶん)」という数値です。真っ白な小麦粉よりも、少し外皮に近い部分を含んだ粉の方が灰分値が高くなり、色がややグレーやクリーム色を帯びてきます。

一般的な強力粉の灰分が0.35%〜0.40%程度であるのに対し、トラディショナルのような本格的な準強力粉は0.40%〜0.50%前後と高めに設定されています。この灰分が、焼き上げた時の香ばしい麦の香りや、深いコクのある味わいを生み出します。また、酵素活性も高まりやすいため、発酵中に生地の糖分が分解され、焼いた時に美しい濃い狐色の焼き色がつきやすくなるのも魅力の一つです。

灰分(かいぶん)とは?
小麦の外皮(ふすま)や胚芽に近い部分に含まれるミネラルのことです。量が多いほど粉の色はくすみ、生地のつながりはやや弱くなりますが、その分、小麦本来の豊かな風味や栄養価が高くなります。フランスパンにおいては、この灰分が味の決め手と言っても過言ではありません。

代表的な準強力粉「リスドォル」との違いを比較

準強力粉を買おうとして検索すると、必ずと言っていいほど「リスドォル」という粉と出会います。日本で最もポピュラーな準強力粉であるリスドォルと、今回ご紹介しているトラディショナル。この二つにはどのような違いがあるのでしょうか。比較しながら、自分の好みに合う粉を見つけてみましょう。

タンパク質含有量の違いによる食感の変化

まず大きく異なるのがタンパク質の量です。リスドォルはタンパク質が約10.7%と準強力粉の中でもやや低めですが、日清製粉のトラディショナルは約11.6%と、実はかなり強力粉に近い数値を持っています。この数値の違いは、生地の扱いやすさと焼き上がりのボリューム感に直結します。

リスドォルはグルテンが穏やかなため、非常に歯切れが良く、軽い食感のフランスパンになります。一方、トラディショナルはタンパク質が多い分、生地に力がつきやすく、ボリュームのあるパンが焼けます。食感も「軽さ」よりは「噛みごたえ」が強調され、しっかりとした骨格のあるハードパンに仕上がるのが特徴です。

灰分(かいぶん)の量がもたらす風味の差

風味の点でも二つには明確なキャラクターの違いがあります。リスドォルは日本人の好みに合わせ、クセがなくあっさりとした食べやすい風味に調整されています。どんな食事にも合わせやすく、万能なフランスパン用粉と言えるでしょう。

対してトラディショナルは、前述の通り「昔ながらのフランスパン」を目指して作られているため、小麦の味がより濃厚です。噛めば噛むほど粉の甘みが染み出してくるような、深い味わいがあります。シンプルなバゲットを作った際、何もつけずにパンそのものの味を楽しみたいなら、トラディショナルの風味の豊かさは大きなアドバンテージになります。

クラスト(皮)の厚みと食感の違い

焼き上がったパンの「皮(クラスト)」にも違いが現れます。リスドォルで作ったバゲットは、皮が薄めでパリパリと繊細な食感になりやすい傾向があります。「パリッ」と軽い音がするようなイメージです。

一方、トラディショナルで作ると、皮はやや厚めで「バリッ」「ガリッ」としたハードな食感になります。しっかりと焼き込むことで、お煎餅のような香ばしさと硬さが生まれ、中のモチモチした部分(クラム)とのコントラストが際立ちます。本格的なハード系のパンが好きな人にとっては、この力強いクラストこそがトラディショナルの最大の魅力と言えます。

どちらを選ぶ?作りたいパンに合わせた選び方

では、結局どちらを選べば良いのでしょうか。結論から言えば、「軽さと歯切れ」を求めるならリスドォル、「濃い味とガリッとした食感」を求めるならトラディショナルがおすすめです。

初めてフランスパンに挑戦する方や、子供でも食べやすいソフトなフランスパンを作りたい場合は、リスドォルの方が生地が柔らかく扱いやすいかもしれません。しかし、「お店のような気泡ボコボコのバゲットを焼きたい」「噛み締めるようなパンが好き」という方は、ぜひトラディショナルを選んでみてください。また、この二つを1:1でブレンドして、両方の良さを取り入れるという上級者テクニックもあります。

項目 リスドォル トラディショナル
タンパク質 やや少なめ(約10.7%) やや多め(約11.6%)
食感 サクッと軽い・歯切れ良い モチモチ・ガリッとハード
風味 あっさり・万能 濃厚・小麦の甘み
おすすめ 初心者・軽いパン好き 本格派・ハードパン好き

トラディショナル準強力粉が向いているパンの種類

「フランスパン用」として売られているトラディショナルですが、その用途はバゲットだけにとどまりません。その特性を活かすことで、さまざまなパンをワンランク上の味に仕上げることができます。

王道のフランスパン(バゲット・バタール)

まずはやはり、バゲットやバタールといったハード系の食事パンです。トラディショナルを使うことで、クープ(切れ込み)のエッジが鋭く立ち上がり、見た目も美しいパンが焼けます。高温で焼き上げることで生まれるクラストの香ばしさは、他の粉ではなかなか再現できません。

また、水分を多めに含ませる「高加水」の生地で作るリュスティックやカンパーニュにも最適です。粉自体の吸水性が比較的良いため、ベタつきやすい高加水の生地でも、しっかりと水を抱え込んで瑞々しいクラム(中身)を作ってくれます。

バターの香りが引き立つクロワッサン・デニッシュ

意外かもしれませんが、クロワッサンやデニッシュなどの折り込み生地にもトラディショナルは非常に適しています。強力粉だけで作るとグルテンが強すぎて生地が縮んでしまい、サクサク感が損なわれることがありますが、準強力粉を使うことで層がハラハラと崩れるような軽い食感が出せます。

特にトラディショナルは小麦の味が強いため、バターの濃厚な風味に負けません。バターのリッチな香りと、香ばしい小麦の香りが互いを引き立て合い、高級店のような味わい深いクロワッサンに仕上がります。

実は美味しい!食パンにブレンドする使い方

「食パンは強力粉で作るもの」というイメージがありますが、実は強力粉に2〜3割ほどのトラディショナルをブレンドするのもおすすめです。これをすることで、いつもの食パンに「サックリ感」と「小麦の甘み」がプラスされます。

特にトースト派の方にはこのブレンドが最適です。焼いた時に表面がカリッと素早く焼け、中はしっとりとしたコントラストが生まれます。毎日食べる食パンだからこそ、粉を少し変えて味の変化を楽しんでみてはいかがでしょうか。

メモ:ピザ生地にもおすすめ
トラディショナルはピザ生地(ナポリ風ピッツァ)にも最適です。耳の部分(コルニチョーネ)がふっくらと立ち上がり、食べた時にモチッとした弾力と、小麦の焦げた香ばしさを存分に楽しめます。

失敗しない!トラディショナル準強力粉の扱い方とコツ

風味豊かで美味しいトラディショナルですが、強力粉と同じ感覚で扱うと少し失敗しやすいポイントもあります。ここでは、この粉のポテンシャルを最大限に引き出すための技術的なコツを紹介します。

水分量の調整(加水率)が成功のカギ

トラディショナルなどの準強力粉は、強力粉に比べてグルテンの形成が穏やかであるため、水を入れた直後はベタつきを感じることがあります。しかし、そこで焦って粉を足すのはNGです。この粉は時間をかけてゆっくりと水を吸収していく性質があります。

一般的なレシピでは加水率(粉に対する水の量)を70%〜75%程度に設定することが多いですが、最初は少し控えめの水分量から始め、生地の様子を見ながら調整するのが安全です。適切に水分を含んだ生地は、焼き上がった時に艶のある大小様々な気泡(クラムの穴)を作り出します。

オートリーズ法で生地の伸展性を高める

トラディショナルを使う際にぜひ取り入れてほしいのが「オートリーズ」という製法です。これは、粉と水だけを混ぜて、塩やイーストを入れる前に15分〜30分ほど放置するテクニックです。

この休ませる時間の間に、粉が自然に水を吸い、グルテンの網目が自己形成されます。また、酵素の働きでデンプンが分解され、甘みが増します。オートリーズを行うことで、捏ねる時間を短縮できるだけでなく、生地がしなやかに伸びやすくなり、成形もしやすくなります。機械を使わない手ごねの場合、特におすすめの方法です。

捏ねすぎ注意!グルテン形成のコントロール

日本のふわふわの菓子パンや食パンはしっかりと薄い膜ができるまで捏ねますが、トラディショナルでハードパンを作る場合は「捏ねすぎない」ことが重要です。グルテンを強くしすぎると、フランスパン特有の荒々しい気泡ができなくなってしまいます。

生地の表面がツルツルになるまで捏ねるのではなく、少し粗さが残る程度で止める、あるいはパンチ(発酵の途中で生地を折りたたむ作業)で生地をつなぐイメージで扱うと良いでしょう。これにより、歯切れの良い食感と、口溶けの良いクラムが生まれます。

発酵時間の管理で旨味を引き出す

トラディショナルが持つ深い味わいを引き出すには、低温長時間発酵(オーバーナイト法)が非常に相性が良いです。冷蔵庫の野菜室などで一晩かけてゆっくり発酵させることで、イーストの臭いを抑えつつ、小麦の甘み成分を最大限に引き出すことができます。

短時間で無理やり発酵させると、せっかくの風味が飛んでしまい、単にパサついたパンになりがちです。トラディショナルを使う時は、時間も材料の一つと考えて、じっくりと生地を育ててあげましょう。

トラディショナル準強力粉を使いこなすためのQ&A

最後に、トラディショナル準強力粉を使う上でよくある疑問や、知っておくと便利な豆知識をQ&A形式でまとめました。購入前の不安や、使っていて困った時の参考にしてください。

近くのスーパーで売っていない時の代用は?

トラディショナルのような準強力粉は、製菓製パン材料の専門店やネット通販でないと入手しにくい場合があります。どうしても手に入らない場合は、強力粉と薄力粉をブレンドして代用することが可能です。

目安としては「強力粉7:薄力粉3」または「強力粉8:薄力粉2」の割合で混ぜると、準強力粉に近いタンパク質量になります。ただし、これはあくまで「タンパク質の量」を合わせただけであり、トラディショナル特有の灰分の高さや風味までは再現できません。練習用としてはブレンド粉でも十分ですが、本番や味にこだわりたい時は、やはり専用の粉を取り寄せることを強くおすすめします。

開封後の保存方法と賞味期限の目安

小麦粉はダニや湿気の大敵です。特にトラディショナルなどの準強力粉は、毎日大量に使う強力粉に比べて減るのが遅いかもしれません。開封後は必ず密閉容器に入れ、直射日光の当たらない涼しい場所(冷暗所)で保存しましょう。

特に梅雨や夏の時期は、密閉容器に入れて野菜室などの冷蔵庫保管が安心です。ただし、冷蔵庫から出し入れする際の結露には注意が必要です。賞味期限は商品に記載されていますが、開封後は風味が落ちる前に、なるべく1〜2ヶ月以内を目安に使い切るようにしましょう。

手ごねとホームベーカリーでの違いはある?

トラディショナルは手ごねでもホームベーカリーでも使用できますが、特徴の出方に違いがあります。ホームベーカリーの「フランスパンコース」などを使えば手軽に美味しいパンが焼けますが、機械の捏ねはやや強めになる傾向があります。

より本格的な「気泡ボコボコ」のクラムや「エッジの立ったクープ」を目指すなら、捏ねや発酵の微調整ができる手ごね(またはニーダーでの調整)に軍配が上がります。ホームベーカリーを使う場合は、生地作り(捏ね〜一次発酵)までを機械に任せ、成形と焼成をオーブンで行うと、トラディショナルの良さを活かした本格的な仕上がりになります。

保存のポイントまとめ
・密閉できるタッパーや保存袋を使用する。

・温度と湿度が低い場所を選ぶ(夏場は冷蔵庫の野菜室へ)。

・粉の継ぎ足しはせず、使い切って容器を洗ってから新しい粉を入れる。

まとめ:トラディショナル準強力粉でワンランク上のパン作りを

今回は、本格的なフランスパンを焼くための「トラディショナル準強力粉」について解説してきました。この粉は単に「準強力粉」という枠に収まらず、小麦本来の豊かな風味、バリッとしたハードな食感、そして美しい焼き色を実現してくれる、パン作り好きにとっての特別なパートナーです。

「リスドォル」のような扱いやすい粉からスタートし、さらに深い味わいや噛みごたえを求めたくなった時こそ、トラディショナルの出番です。水分量の調整や捏ね方など、少しコツが必要な場面もありますが、それらを乗り越えて焼き上がったパンの香りと味は、家庭でのパン作りを感動的なものに変えてくれるはずです。ぜひ今度の休日は、トラディショナル準強力粉を使って、お部屋いっぱいに広がる香ばしい香りと共に、焼きたての本格パンを楽しんでみてください。

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