自宅でフランスパンやハード系のパンを焼きたいと思ったとき、レシピに「準強力粉」と書かれていて困ったことはありませんか。普段からパン作りをしている方でも、常備しているのは強力粉と薄力粉だけで、準強力粉までは持っていないというケースは非常に多いです。
わざわざ専用の粉を買いに行かなくても、手元にある材料だけで代用できる方法があれば、すぐにパン作りを始められますよね。実は、準強力粉は家庭にある強力粉と薄力粉を混ぜ合わせることで、その性質に近いものを作ることができます。
この記事では、誰でも簡単に実践できる準強力粉の作り方について、配合の比率や混ぜ方のコツ、そして代用する際の注意点まで詳しく解説します。美味しいハードパンを焼くための知識を身につけて、レパートリーを広げていきましょう。
準強力粉の作り方と基本の配合比率

準強力粉がないときに最も役立つのが、強力粉と薄力粉をブレンドして代用する方法です。スーパーで手軽に買えるこれら二つの粉を混ぜるだけで、フランスパン用粉に近いタンパク質含有量を作り出すことができます。
ここでは、失敗しないための基本的な配合比率と、均一に混ぜ合わせるための具体的な手順について解説していきます。まずは基本となる「黄金比率」から押さえていきましょう。
最も基本的な「強力粉8:薄力粉2」の黄金比
準強力粉を自分で作る際、最も一般的で失敗が少ないと言われている配合比率は、「強力粉8:薄力粉2」です。この割合で混ぜ合わせることで、タンパク質の量が準強力粉の基準値である10%〜12%前後に落ち着きます。
例えば、準強力粉が200g必要なレシピの場合で考えてみましょう。計算はとても単純で、強力粉を160g、薄力粉を40g計量して合わせるだけです。
【計算例:準強力粉200gを作る場合】
・強力粉:160g(80%)
・薄力粉:40g(20%)
この「8対2」というバランスは、適度なグルテンの強さを保ちつつ、ハードパン特有のサクッとした歯切れの良さを出すのに適しています。初めて代用する場合は、まずこの比率から試してみることを強くおすすめします。
ただし、使用する強力粉のメーカーやブランドによって、元々のタンパク質含有量が異なります。「カメリア」や「イーグル」などの一般的な強力粉であればこの比率で問題ありませんが、さらにタンパク質が高い「スーパーキング」などを使う場合は、少し薄力粉を多めにするなどの微調整が必要になることもあります。
粉を均一にするための「ふるい」の重要性
配合比率と同じくらい重要なのが、二種類の粉をしっかりと混ぜ合わせることです。ただボウルに入れて手でざっと混ぜただけでは、強力粉の層と薄力粉の層が偏ってしまい、生地を作ったときにムラができてしまいます。
ムラのある粉でパンを作ると、発酵が均一に進まなかったり、焼き上がりの食感が部分によって異なったりする原因になります。これを防ぐために必ず行ってほしいのが、粉を合わせてから2回〜3回ふるうという作業です。
ふるいにかけることで、粉同士が空気を含みながら細かく混ざり合います。また、粉の中に含まれるダマを取り除く効果もあるため、水を入れた際の水回りが良くなり、スムーズに生地作りをスタートできるというメリットもあります。
もし粉ふるい器がない場合は、大きめのボウルに粉を入れ、ホイッパー(泡立て器)を使って全体をぐるぐるとよくかき混ぜてください。これだけでも、何もせずに使うよりはずっと均一な状態に近づけることができます。
用途に合わせて比率を変える「7:3」の調整法
基本は「8:2」ですが、作りたいパンの種類や好みの食感によっては、「強力粉7:薄力粉3」の割合にするのも一つのテクニックです。薄力粉の割合を増やすことで、グルテンの力が少し弱まり、より歯切れの良い、軽い食感に仕上がります。
例えば、クロワッサンやデニッシュのように、層をきれいに浮かせたい場合や、サクサク感を重視したいパンの場合は、薄力粉を多めに配合すると作業がしやすくなります。グルテンが強すぎると生地が縮んで伸ばしにくくなりますが、薄力粉が増えることで生地の伸展性が良くなるからです。
また、ピザ生地を作る際にも、クリスピーな食感を出したいなら「7:3」や「6:4」くらいまで薄力粉を増やしても美味しく作れます。自分の目指す食感に合わせて、少しずつ比率をアレンジしてみるのもパン作りの楽しみの一つです。
使用する強力粉のタンパク質含有量を確認する
より正確に準強力粉を再現したい、とこだわる方は、使用している強力粉と薄力粉のパッケージ裏面にある「成分表示」を確認してみましょう。そこに記載されている「タンパク質(プロテイン)」の数値を見ることで、より精度の高い配合が可能になります。
準強力粉のタンパク質含有量の目安は、およそ10.5%〜11.5%程度です。一方、一般的な強力粉は12%〜13%、薄力粉は8%〜9%程度であることが多いです。
【計算式での確認方法】
(強力粉のタンパク質 × 配合率) + (薄力粉のタンパク質 × 配合率) = 目標値
例えば、タンパク質13%の「最強力粉」と呼ばれるような粉を使う場合、8:2の割合だとタンパク質が高くなりすぎて、準強力粉の代用としては強すぎる生地になることがあります。その場合は薄力粉を増やして調整します。
そこまで厳密に計算しなくてもパンは焼けますが、「なぜか生地が硬すぎる」「思ったより膨らまない」といったトラブルが起きたときは、使っている粉の性質を見直してみると解決の糸口が見つかるかもしれません。
そもそも準強力粉とは?強力粉・薄力粉との違い

作り方をマスターしたところで、そもそも「準強力粉」とは一体どのような粉なのか、他の粉と何が違うのかを深く理解しておきましょう。この違いを知ることで、なぜブレンドが必要なのか、どのようなパンに向いているのかがより明確になります。
小麦粉は主に含まれるタンパク質(グルテン)の量によって分類されますが、準強力粉はその名の通り、強力粉と中力粉の中間、あるいは強力粉の少し下という立ち位置にあります。
タンパク質(グルテン)の量と弾力の違い
小麦粉の分類において最も大きな指標となるのがタンパク質の含有量です。水と合わせてこねることで形成される「グルテン」は、パンの骨格となり、膨らみを支える重要な役割を果たします。
| 種類 | タンパク質含有量 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 強力粉 | 11.5% 〜 13.5% | 食パン、菓子パン |
| 準強力粉 | 10.0% 〜 12.0% | フランスパン、デニッシュ |
| 中力粉 | 8.0% 〜 10.0% | うどん、お好み焼き |
| 薄力粉 | 6.5% 〜 8.5% | ケーキ、クッキー |
強力粉はグルテンが多く、弾力と粘り気が強いため、ふっくらと大きく膨らむパンに適しています。一方、準強力粉は強力粉に比べてグルテンがやや少ないため、弾力が強すぎず、生地が伸びやすい(伸展性がある)という特徴があります。
この「適度な弱さ」が、フランスパン作りには欠かせません。グルテンが強すぎると、フランスパン特有の大小さまざまな気泡(クラム)ができにくく、目が詰まった重たい食感になってしまうからです。
「灰分(かいぶん)」がもたらす風味の違い
手作りブレンド粉と、市販の「フランスパン専用粉(準強力粉)」との決定的な違いは、実はタンパク質の量だけではありません。それは「灰分(かいぶん)」と呼ばれるミネラルの含有量です。
灰分とは、小麦の外皮や胚芽に含まれるミネラル分のことで、これが高いほど粉の色は少し灰色がかり、小麦本来の香りが強く、深い味わいになります。フランスパン専用粉として売られている準強力粉は、意図的にこの灰分が高くなるように製粉されているものが多いです。
強力粉と薄力粉を混ぜて作った「代用準強力粉」では、タンパク質の数値は合わせられても、この「灰分」による風味までは完全に再現することが難しいのが現実です。代用粉で作ったパンは、あっさりとしたクリアな味わいになる傾向があります。
とはいえ、家庭で焼きたてを食べる分には十分美味しいパンになります。風味が物足りないと感じる場合は、全粒粉やライ麦粉を少量(全体の5〜10%程度)混ぜることで、ミネラル分と香ばしさを補うという裏技もあります。
焼き上がりの食感「クリスピーさ」の秘密
準強力粉を使って焼いたパンの最大の特徴は、外側(クラスト)のパリッとした食感です。これは「クリスピー感」とも呼ばれます。
強力粉100%で作ったパンは、グルテンの力が強いため、皮まで引きが強く、噛みごたえのある「モチモチ」した食感になりがちです。食パンやベーグルにはそれが適していますが、バゲットを噛み切るときには、もう少し歯切れの良さが求められます。
準強力粉、あるいはその代用として薄力粉を混ぜた粉を使うと、グルテンの結合が適度に緩やかになります。その結果、焼成時に生地が伸びやすく、火通りが良くなり、皮が薄くパリッと焼き上がるのです。
また、中は「モチモチ」しすぎず、口溶けの良い「しっとり」とした食感になります。この、外はパリッ、中はしっとりというコントラストを生み出すために、準強力粉という絶妙なバランスの粉が必要とされるのです。
作業性の違いと扱いやすさ
パン作りをする人にとって、生地の扱いやすさ(作業性)も重要なポイントです。準強力粉(または代用粉)で作った生地は、強力粉のみの生地に比べてベタつきが少なく、伸ばしやすい傾向があります。
特にクロワッサンやデニッシュなど、バターを折り込んで伸ばしていく作業をする場合、強力粉だけでは弾力が強すぎて、伸ばしてもすぐに縮んで戻ってしまいます。これではきれいな層が作れません。
薄力粉を混ぜてグルテンを弱めることで、生地の「戻ろうとする力」が抑えられ、麺棒でスムーズに伸ばすことができるようになります。整形が複雑なハード系のパンを作る際にも、この伸展性の良さが成形を助けてくれます。
ただし、水分量の調整を間違えると、グルテンが弱い分だけダレやすくなることもあります。代用粉を使うときは、レシピの水加減を慎重に見極めることが大切です。
自作した準強力粉で作れるおすすめのパン

強力粉と薄力粉をブレンドした「自家製準強力粉」が用意できたら、実際にどのようなパンが作れるのでしょうか。準強力粉が指定されているレシピであれば基本的に何でも作れますが、特にこの粉の特性が活きるおすすめのパンをいくつか紹介します。
それぞれのパンにおいて、どのような食感が楽しめるのか、また代用粉で作る際のちょっとしたポイントも合わせて見ていきましょう。
フランスパン(バゲット・バタール)
準強力粉を使うパンの代表格といえば、やはりフランスパンです。細長い「バゲット」や、少し太めの「バタール」など、シンプルな材料で作るハード系のパンには最適です。
代用粉を使用することで、強力粉100%で作るよりも皮(クラスト)が薄く、パリッとした食感に仕上がります。中の生地(クラム)も、気泡が入りやすくなり、軽い口当たりになります。
フランスパン作りは非常に奥が深いですが、まずは家庭にある粉をブレンドして挑戦してみるのが第一歩です。リスドォルなどの専用粉がなくても、十分に雰囲気のある美味しいフランスパンを焼くことができます。
ポイントは、あまりこねすぎないこと。グルテンを強化しすぎないように、優しく扱うことで、より歯切れの良い食感を目指しましょう。
クロワッサン・デニッシュペストリー
バターをたっぷりと折り込んで作るクロワッサンやデニッシュも、準強力粉が活躍するメニューです。前述の通り、生地を薄く伸ばす工程があるため、適度な伸展性が求められます。
強力粉と薄力粉を「7:3」くらいの割合でブレンドすると、生地が素直に伸びてくれて、折り込み作業が格段に楽になります。焼き上がりも、層の一枚一枚がハラハラと崩れるような、サクサクとした軽い食感が生まれます。
市販の冷凍パイシートとは一味違う、バターの香り豊かな焼きたてクロワッサンは格別です。自家製ブレンド粉なら、思い立ったときにすぐに作れるのが嬉しい点です。
ハード系の食パン・リュスティック
「ハードトースト」と呼ばれる、油脂や砂糖を控えたシンプルな配合の食パンにも準強力粉が向いています。いつものふわふわで甘い食パンとは違い、トーストするとサクッと香ばしく、小麦の味がダイレクトに感じられるパンになります。
また、こねずに作る「リュスティック」などの高加水パンにもおすすめです。水分を多く含む生地でも、準強力粉の適度なグルテン量なら、ベタつきながらもなんとかまとめることができ、中が瑞々しいモチモチとした食感に焼き上がります。
スープやシチューなどの食事に合わせるパンとして、こうした甘さ控えめのハード系パンは非常に重宝します。サンドイッチにしても具材の味を引き立ててくれます。
クリスピータイプのピザ生地
パンではありませんが、ピザ生地作りにも準強力粉のブレンドは最適です。特に、イタリアンレストランで出てくるような、薄くてカリッとした「クリスピータイプ」や、縁が香ばしい「ナポリ風」のピザを目指すなら、強力粉だけで作るよりも美味しく仕上がります。
強力粉100%だとパンのようなふっくらした厚みのあるピザ(アメリカンタイプ)になりがちですが、薄力粉を混ぜることで生地の引きが弱まり、薄く伸ばしやすくなります。高温で短時間焼くと、底面がサクッとした本格的なピザが楽しめます。
週末のランチやディナーに、自家製ブレンド粉で手作りピザパーティーを楽しむのも素敵ですね。
準強力粉を代用する際の注意点とコツ

強力粉と薄力粉を混ぜるだけで簡単に作れる準強力粉ですが、市販の専用粉と全く同じになるわけではありません。代用粉を使って失敗しないために、あらかじめ知っておくべき注意点と、上手に焼くためのコツを解説します。
特に水分量の調整や、風味の違いについては、実際に作り始めてから「あれ?」と戸惑うポイントですので、しっかり確認しておきましょう。
吸水率の違いによる水分量の調整
最も気をつけてほしいのが「水加減」です。小麦粉は種類によって水を吸う力(吸水率)が異なります。一般的に、タンパク質が多い強力粉ほど水をよく吸い、タンパク質が少ない薄力粉は吸水率が低くなります。
準強力粉のレシピを見て作る場合、そのレシピは「専用の準強力粉」を使うことを前提に水分量が設定されています。強力粉と薄力粉をブレンドした代用粉の場合、薄力粉が混ざっている分だけ、専用粉よりも吸水率がやや低くなる(水が余りやすくなる)可能性があります。
【失敗しないための対策】
レシピ記載の水をいきなり全量入れず、まずは90%〜95%程度を入れて様子を見ましょう。生地の硬さを確認しながら、足りなければ残りの水を少しずつ足していく「調整水」という方法をとるのが安全です。
逆に、非常に乾燥した強力粉を使う場合は水を吸うこともあるため、一概には言えません。常に「生地の状態」を見て判断する癖をつけることが、パン作り上達の近道です。
風味や焼き色は専用粉に劣る場合がある
先ほどのセクションでも触れましたが、市販の準強力粉(フランスパン専用粉)は、フランスパンらしい香ばしさや、独特の濃い焼き色がつくように、灰分値や酵素活性が調整されています。
家庭にある強力粉と薄力粉を混ぜただけでは、この「風味」や「旨味」の部分までは再現しきれません。焼き上がりの色が少し白っぽくなったり、香りが淡白に感じられたりすることがあります。
これを補うために、「モルトパウダー」または「モルトシロップ」を微量添加するという方法があります。モルト(麦芽)はイーストの栄養となり発酵を助けるだけでなく、焼き色を良くし、風味を向上させる効果があります。
もし手元にモルトがない場合は、砂糖やハチミツをほんの少しだけ多めに入れることで、焼き色をつきやすくすることも可能です。ただし入れすぎるとソフトなパンになってしまうので注意が必要です。
混ぜた粉の保存方法と使い切り
「いちいち計量して混ぜるのが面倒だから」と、大量にブレンドして作り置きしたくなるかもしれません。しかし、基本的には使うたびに計量して混ぜることをおすすめします。
理由は、強力粉と薄力粉では粒子の大きさが異なるため、保存容器の中で振動などが加わると、細かい薄力粉が下に沈み、再び分離してしまう可能性があるからです。これでは使うときに比率が変わってしまいます。
もしどうしても作り置きをしておきたい場合は、使う直前に保存容器ごとしっかり振って混ぜ合わせるか、もう一度ふるいにかけてから計量するようにしてください。また、ダニや湿気を防ぐため、密閉容器に入れて冷蔵庫(野菜室)などの涼しい場所で保管し、早めに使い切るようにしましょう。
こね具合の見極め方
代用粉を使った生地は、強力粉100%の生地に比べてグルテンの形成がゆっくりで、つながりが弱く感じることがあります。こねている最中に「なかなか膜ができないな」と不安になるかもしれません。
しかし、フランスパンなどのハード系パンを作る場合は、食パンのように「薄い膜が張るまでしっかりこねる」必要がないことが多いです。むしろ、こねすぎるとグルテンが強くなりすぎて、歯切れの悪さにつながってしまいます。
生地の表面がなめらかになり、少し伸びるようになればOKと判断するなど、作るパンの種類に合わせてこね具合を調整してください。代用粉はデリケートなので、優しく扱う気持ちを持つとうまくいきます。
市販の準強力粉(フランスパン専用粉)を使うメリット

ここまで「代用」の方法を伝えてきましたが、もしパン作りにハマって「もっと本格的なバゲットを焼きたい」と思うようになったら、ぜひ一度、市販の準強力粉を購入してみることをおすすめします。
代用粉で練習した後に専用粉を使うと、その違いに驚くはずです。ここでは、専用粉ならではのメリットと、有名な銘柄について少し紹介します。
プロも愛用する粉のポテンシャル
パン屋さんで売られているフランスパンが美味しいのは、技術はもちろんですが、使用している「粉」の力も大きいです。専用粉は、ヨーロッパ産の小麦をブレンドしていたり、石臼挽きの粉を含んでいたりと、香りや食感を追求して作られています。
専用粉を使う最大のメリットは、「粉の味が濃い」ことです。シンプルな材料しか使わないハードパンだからこそ、小麦そのものの味がダイレクトに伝わります。噛むほどに広がる甘みや旨味は、やはり専用粉に軍配が上がります。
また、生地のダレにくさや、クープ(切れ込み)の開きやすさなど、作業性(扱いやすさ)の面でも研究されているため、初心者こそ専用粉を使ったほうが形良く焼けるという側面もあります。
代表的な準強力粉の銘柄
製菓製パン材料店や通販サイトでは、多種多様な準強力粉が販売されています。名前を聞いたことがあるものもあるかもしれません。
【有名な準強力粉の例】
・リスドォル:最もポピュラーな日本製のフランスパン用粉。扱いやすく、初心者におすすめ。
・タイプER:北海道産小麦を使用した準強力粉。国産小麦特有のモチモチ感と甘みが特徴。
・トラディショナル:本場フランスの粉に近い、香ばしく歯切れの良いクラストができる。
・Viron(ヴィロン)社の粉:フランスの老舗製粉会社の粉。風味が非常に豊かで、本格派向け。
「リスドォル」はスーパーの製菓コーナーでも見かけることがある比較的入手しやすい粉です。まずはここから試してみて、代用粉との味の違いを比べてみるのも面白い実験になります。
状況に応じた使い分けのススメ
結局のところ、代用粉と専用粉、どちらが良いのでしょうか。答えは「状況による」です。
「今日急にピザが食べたくなった」「在庫の強力粉を消費したい」という日常的なシーンでは、強力粉と薄力粉のブレンドで十分です。わざわざ専用粉を買っても、使い切れずに賞味期限を切らしてしまってはもったいないからです。
一方で、「誕生日に最高のバゲットを焼きたい」「友人にプレゼントしたい」という特別な時や、パン作りの腕を上げたいときは、専用粉を取り寄せてみるのが良いでしょう。
どちらか一つに絞る必要はありません。両方の手段を持っていることで、パン作りの自由度は大きく広がります。気楽な「代用」と、こだわりの「専用粉」、それぞれの良さを楽しんでください。
まとめ:準強力粉の作り方をマスターしてパン作りの幅を広げよう

今回は、家庭にある材料で簡単にできる「準強力粉の作り方」について、配合比率から活用法、注意点まで詳しく解説してきました。最後に要点を振り返っておきましょう。
準強力粉がないときは、「強力粉8:薄力粉2」の割合で混ぜ合わせるのが基本の黄金比率です。この配合により、フランスパンやクロワッサンなどに適したタンパク質含有量を再現することができます。さらに軽い食感を求めるなら「7:3」にするなど、好みに合わせて調整できるのも手作りの魅力です。
混ぜ合わせる際は、ムラをなくすために必ず数回ふるいにかけることを忘れないでください。また、吸水率が専用粉とは異なる場合があるため、水加減は様子を見ながら少しずつ調整することが失敗を防ぐコツです。
もちろん、風味や作業性の面では「リスドォル」などの専用粉に及ばない部分はありますが、日常的に楽しむパン作りにおいて、この代用テクニックは非常に強力な武器になります。「粉がないから作れない」と諦めることなく、思い立ったその日にハードパン作りを楽しめるようになります。
まずは今ある強力粉と薄力粉をブレンドして、自家製準強力粉でのパン作りにチャレンジしてみてください。自分で調整した粉で焼き上げたパンの味は、きっと格別のものになるはずです。


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