無塩バターを有塩バターにする方法とは?塩の量や混ぜ方を分かりやすく解説

無塩バターを有塩バターにする方法とは?塩の量や混ぜ方を分かりやすく解説
無塩バターを有塩バターにする方法とは?塩の量や混ぜ方を分かりやすく解説
材料選び・代用・計算・保存

「パンやお菓子を作ろうと思ったら、レシピに『有塩バター』と書いてあるのに、手元には無塩バターしかない!」

あるいはその逆で、特売で無塩バターを買ってしまったけれど、普段の料理やトーストには少し塩気が欲しい……。
そんな経験はありませんか?

実は、無塩バターに適切な量の塩を加えることで、家庭でも簡単に有塩バターとして代用することができます。

この記事では、無塩バターを有塩バターに変えるための正確な塩の分量や、パン作り・お菓子作りで失敗しないためのコツを詳しく解説します。

無塩バターを有塩バターにする方法の基本と黄金比

無塩バターを有塩バターとして使うためには、適当に塩を振るだけではうまくいきません。
市販されている有塩バターの塩分濃度を知り、それに合わせて計量することが、美味しいパンや料理を作るための第一歩です。
まずは、基本となる「塩の割合」と、具体的な計算方法について見ていきましょう。

有塩バターの塩分濃度は「1.5%」が目安

日本で市販されている一般的な有塩バター(雪印メグミルクやよつ葉乳業など)の塩分濃度は、およそ1.5%前後で作られています。
メーカーによって1.4%~1.6%程度の幅はありますが、家庭での代用を考える場合は「1.5%」を基準に計算すれば間違いありません。
つまり、無塩バターの重さに対して1.5%の塩を足せば、理論上は有塩バターと同じ塩加減になるのです。

計算式は以下のようになります。
無塩バターの重さ(g) × 0.015 = 加える塩の量(g)
この計算式さえ覚えておけば、どんな量のバターでもすぐに必要な塩の量を割り出すことができます。
1.5%という数字は、バターの風味を損なわず、かつ保存性を高めたり味を引き締めたりするのにちょうど良いバランスとされています。

バターの量別・加える塩の早見表

いちいち計算機を叩くのは面倒だという方のために、よく使うバターの分量ごとの塩の量をまとめました。
パン作りやお菓子作りで計量する際の参考にしてください。

無塩バターの量 加える塩の量(1.5%計算)
10g 0.15g
20g 0.3g
50g 0.75g
100g 1.5g
150g(ポンドバターの1/3) 2.25g
200g(一般的な箱入り1個) 3.0g
450g(業務用ポンドバター) 6.75g

このように数字で見ると、加える塩の量は意外と少ないことがわかります。
特に10gや20gといった少量を使う場合、0.1g単位で量れる「微量計(デジタルスケール)」がないと正確に計量するのは難しいかもしれません。
もし通常のキッチンスケール(1g単位)しか持っていない場合は、まとめて100gや200g分を作ってしまうか、後述する「パン作りの場合の代用テクニック」を使うのがおすすめです。

使用する塩の種類による違い

「塩」とひと口に言っても、サラサラした精製塩から、粒の粗い天然塩までさまざまな種類があります。
無塩バターに混ぜ込む場合、おすすめなのは「粒子の細かい塩」です。
粒子が細かい食塩や、パウダー状の塩を使うと、バターの中で溶け残りが少なく、均一に混ざりやすくなります。

一方で、粒の大きな岩塩や粗塩を使ってしまうと、バターの中にジャリジャリとした食感が残ってしまいます。
トーストに乗せる場合ならその食感も美味しいかもしれませんが、パン生地に練り込んだりクッキーに使ったりする場合、塩の粒が残っていると味ムラの原因になります。
もし粗塩しかない場合は、すり鉢やミルを使って細かく挽いてから混ぜると良いでしょう。

補足:塩の種類の違い
「精製塩(食塩)」は塩化ナトリウムの純度が高く、塩辛さがダイレクトに伝わります。
「天然塩(海塩など)」はミネラルを含み、まろやかな味わいです。
パン作りではどちらを使っても問題ありませんが、天然塩を使う場合は塩分濃度がわずかに低くなることがあるため、気持ち多めに入れても良いかもしれません。

実践!無塩バターに塩を混ぜて有塩にする具体的な手順

塩の分量が分かったところで、実際に無塩バターに塩を混ぜていく手順を解説します。
ただ混ぜるだけのように思えますが、バターの状態管理が非常に重要です。
特にパン作りやお菓子作りで使う場合、「バターを溶かさないこと」が成功の鍵となります。

手順1:バターを常温に戻して柔らかくする

冷蔵庫から出したばかりのカチカチのバターには、塩を均一に混ぜることができません。
まずはバターを常温に戻し、指で押すとスッと跡がつくくらいの「ポマード状」の柔らかさにします。
このとき、絶対に電子レンジで加熱しすぎて液体にしないよう注意してください。

バターは一度溶けて液体になってしまうと、冷やし固めても元の構造(クリーミング性や可塑性)には戻りません。
溶かしバターになってしまうと、パン生地に入れたときに油脂が染み出しやすくなったり、クッキーがサクサクにならなかったりと、仕上がりに悪影響を及ぼします。
室温が低い冬場などでどうしてもレンジを使いたい場合は、10秒ずつ様子を見ながら、溶けないギリギリの柔らかさを目指しましょう。

手順2:塩を加えて練り混ぜる

バターが十分に柔らかくなったら、ボウルに入れ、計量しておいた塩を加えます。
このとき、ゴムベラを使ってバターをボウルの底に擦り付けるようにして、全体をよく練り混ぜます。
塩が一箇所に固まらないよう、満遍なく行き渡らせることがポイントです。

市販の有塩バターは、製造工程で塩を水に溶かした状態で乳化させたり、非常に強力なミキサーで混ぜたりしているため、塩の結晶を感じることはありません。
しかし家庭で混ぜる場合は、どうしても微細な塩の粒が残ることがあります。
なるべく滑らかになるまで、丁寧にすり混ぜてください。
ボウルの中だけでなく、ゴムベラについたバターもこまめに落として混ぜ込むと、ムラが少なくなります。

手順3:すぐに使わない場合の保存方法

混ぜ終わった直後のバターは、常温に戻っているため非常に柔らかい状態です。
すぐにパン生地に混ぜ込むならそのままで構いませんが、後で使う場合や、トースト用に保存したい場合は、一度冷やし固める必要があります。

ラップの上に混ぜたバターを乗せ、棒状や四角い形に整えて包み、冷蔵庫に入れてください。
使いやすいように、10gずつや20gずつに小分けにしてラップで包んでおくと、次回の計量が楽になります。
また、自家製の「有塩バター」は、空気に触れる面積が増えているため、市販のバターよりも酸化しやすくなっています。
なるべく早めに、1~2週間以内を目安に使い切るようにしましょう。

メモ:さらに滑らかにする裏技
塩を直接バターに入れるのではなく、ごく少量の水(数滴程度)で塩を溶かしてから、その塩水をバターに混ぜ込むという方法もあります。こうするとジャリジャリ感がなくなりますが、バターに水分が入るため分離しやすくなります。混ぜる技術が必要になるため、基本的には直接混ぜる方法で十分です。

パン作り・お菓子作りで代用する際の注意点

ここでは、特に「パン作り」や「お菓子作り」のブログ読者の方に向けて、より専門的な視点での代用方法を解説します。
実は、パン作りの場合、わざわざバターに塩を練り込む作業は必要ないことが多いのです。
その理由と、賢いやり方について詳しく見ていきましょう。

パン作りなら「粉に塩を足す」が正解

もしあなたの目的が「有塩バター指定のパンレシピを、無塩バターで作る」ことだとしたら、バターに塩を混ぜる工程は省略できます。
パン作りでは、最終的に全ての材料が生地の中で混ざり合うからです。
わざわざベタつくバターを練って塩を混ぜなくても、パン生地に加える塩の量を増やすだけで、化学的には全く同じ状態を作ることができます。

例えば、「強力粉250g、塩4g、有塩バター20g」というレシピがあったとします。
手元には無塩バターしかありません。
この場合、有塩バター20gに含まれる塩分(約0.3g)を計算し、レシピの塩4gに足して、合計4.3gの塩を粉の方に入れれば良いのです。
バターは無塩バター20gをそのまま使います。
この方法なら、バターを常温に戻して練る手間が省け、バターを冷たいまま生地に投入できるというメリットもあります。

計算を間違えないためのポイント

「粉に塩を足す」方法をとる場合、計算ミスには注意が必要です。
パン作りにおいて、塩は単なる味付け以上の重要な役割を持っています。
塩が少なすぎると味がぼやけるだけでなく、生地がダレてしまったり、発酵が早すぎて過発酵になったりします。
逆に多すぎると、イーストの活動が阻害されて膨らみが悪くなります。

【換算例】有塩バター30gを無塩バターで代用する場合

1. 有塩バター30gに含まれる塩分を計算
30g × 0.015 = 0.45g

2. レシピの塩の量に0.45gをプラスする
(例:元が塩5gなら、5.45gにする)

3. バターは無塩バター30gをそのまま使用する

0.45gといった細かい数字は、家庭用の秤では量りにくいかもしれません。
その場合は、0.1g単位のスケールを使うか、厳密には少し誤差が出ますが「ひとつまみ(約0.5g前後)」を目安に追加すると良いでしょう。

お菓子作りの場合はレシピに従うのが無難

パン作りとは異なり、クッキーやパウンドケーキなどのお菓子作りでは注意が必要です。
お菓子の場合、バターと砂糖を最初にすり混ぜる工程が多く、ここで塩が最初から入っている「有塩バター」の風味が求められるレシピと、そうでないレシピがあります。

多くの本格的なお菓子レシピでは「無塩バター」が指定されています。
これはバターの量が多いお菓子において、有塩バターを使うと塩辛くなりすぎてしまうからです。
しかし、家庭的なクッキーやホットケーキミックスを使うようなレシピでは「有塩バター」が指定されることもあります。
この場合は、先ほど紹介した「バターに塩を練り込む方法」で有塩バターを作ってから使用するか、粉と一緒に塩をふるい入れる方法で代用してください。
ただし、クッキーのような水分の少ない生地では、粉に混ぜた塩が溶けきらずに残ることがあるため、事前にバターに混ぜておく方が失敗は少ないでしょう。

有塩バターと無塩バターの意外な違いと使い分け

そもそも、なぜバターには「有塩」と「無塩」の2種類があるのでしょうか。
この違いを深く理解しておくと、パン作りや料理の腕がさらに上がります。
単に「塩が入っているかどうか」だけではない、プロ視点での違いをご紹介します。

賞味期限と保存性の違い

有塩バターと無塩バターの最大の違いの一つは、実は「保存性」です。
塩には食品の水分活性を下げ、雑菌の繁殖を抑える効果があります。
そのため、有塩バターは無塩バターに比べて賞味期限が長く設定されていることが一般的です。

無塩バターは保存料代わりの塩が入っていないため、開封後は非常に傷みやすい食品です。
「無塩バターを買ったけれど使い切れずにカビが生えてしまった」という経験がある方も多いのではないでしょうか。
もし無塩バターが余ってしまいそうで、しばらくパンを作る予定がない場合は、今回紹介した方法で塩を混ぜて「自家製有塩バター」にしてしまうのも、保存期間を延ばす一つの知恵です。
(ただし、手作りで混ぜる際に雑菌が入らないよう、器具の消毒は徹底してください)

風味の感じ方と「乳臭さ」

味の面でも大きな違いがあります。
無塩バターは、ミルク本来の甘みや香りがダイレクトに感じられますが、人によってはこれを「乳臭い」「油っぽい」と感じることがあります。
一方、有塩バターは塩分によって味が引き締まり、コクや旨味が強調されます。

トーストに塗って食べる時に有塩バターが好まれるのは、この「対比効果」のおかげです。
パン作りにおいて、あえて「有塩バター」を指定するレシピ(塩パンやブリオッシュの一部など)は、このバター特有の塩気とコクを活かしたいという意図があります。
逆に、カスタードクリームやバタークリームなど、繊細な甘さを表現したい場合には、塩気が邪魔をしない無塩バターが必須となります。

水分量の微妙な差

非常にマニアックな話になりますが、厳密には有塩バターと無塩バターでは水分量がわずかに異なります。
JAS規格(日本農林規格)では、バターの水分は17.0%以下と定められていますが、有塩バターは塩を加える工程がある関係で、無塩バターよりも水分が分散されている状態が異なります。
しかし、家庭でのパン作りレベルであれば、この水分差が仕上がりに大きく影響することはほとんどありません。
「水分量は気にせず、塩分量だけ調整すればOK」と考えて問題ありません。

まとめ:無塩バターを有塩バターにする方法をマスターしてパン作りを楽しもう

無塩バターを有塩バターにする方法は、実はとてもシンプルです。
バターの重さに対して「1.5%」の塩を加えること。
これさえ覚えておけば、買い間違いや在庫切れで慌てることはもうありません。

今回の記事のポイントを振り返りましょう。

  • 有塩バターの塩分濃度は約1.5%(100gに対して1.5gの塩)。
  • 混ぜる時はバターを溶かさず、ポマード状にしてから塩を均一に練り込む。
  • パン作りの代用なら、バターに混ぜずに「粉に塩を足す」方法が簡単で正確。
  • 保存性や風味の違いを理解して使い分けると、料理のレベルが上がる。

パン作りをしていると、バターの種類や在庫管理には常に気を配る必要があります。
しかし、こうして「仕組み」や「計算方法」を知っておけば、レシピ通りにいかない時でも柔軟に対応できるようになります。
無塩バターしかない時でも、焦らず塩をプラスして、美味しいパン作りを楽しんでくださいね。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました