パン作りでバターの代わりに使えるものは?おすすめの代用品と使い分け

パン作りでバターの代わりに使えるものは?おすすめの代用品と使い分け
パン作りでバターの代わりに使えるものは?おすすめの代用品と使い分け
材料選び・代用・計算・保存

「パンを焼こうと思ったのに、冷蔵庫にバターがない!」そんな経験はありませんか?また、バターの価格高騰や健康面を気にして、他のもので代用できないかと考える方も多いでしょう。実は、パン作りにおいてバターは必須ではありません。

ご家庭にあるサラダ油やオリーブオイル、さらにはマヨネーズなどもバターの立派な代わりになります。油脂を変えることで、バターとは一味違うおいしさや食感に出会えるのもパン作りの醍醐味です。この記事では、バターの代わりに使えるおすすめの食材や、それぞれの仕上がりの特徴、失敗しない使い方のコツをわかりやすく解説します。

パン作りでバターの代わりに使える【液体の油】

まずは、キッチンに常備されていることが多い「液体の油」についてご紹介します。バターのような「固形油脂」ではなく「液体油脂」を使うと、準備が手軽になるだけでなく、パンの食感にも変化が生まれます。

サラダ油

最も手軽な代用品がサラダ油です。クセがなく無味無臭に近いため、小麦粉本来の香りや味わいを邪魔しません。スーパーで安価に手に入るため、コストパフォーマンスも抜群です。

サラダ油を使ったパンは、バターを使ったときのような濃厚なコクは控えめになりますが、その分あっさりとした飽きのこない味に仕上がります。食パンやロールパンなど、毎日食べるシンプルなパンを作りたいときにおすすめです。また、冷蔵庫に入れても生地が硬くなりにくいという特徴もあります。

オリーブオイル

健康志向の方や、パンに風味をプラスしたい方にはオリーブオイルが最適です。オリーブ特有のフルーティーな香りがつくため、フォカッチャやピザ生地、ハード系のパンとの相性が抜群です。

仕上がりは、しっとりと重厚感のあるクラム(パンの中身)になりやすく、もちもちとした食感を楽しめます。ただし、甘い菓子パンや繊細な風味の食パンを作るときは、オリーブの香りが主張しすぎてしまうことがあるため、作るパンの種類によって使い分けるのがポイントです。

太白胡麻油(たいはくごまあぶら)

パン作りやお菓子作りをする人の間で、近年非常に人気が高まっているのが「太白胡麻油」です。一般的な茶色い焙煎ごま油とは異なり、生のごまを搾っているため、色も透明でごま特有の香りが全くありません。

特筆すべきは、その保湿力です。太白胡麻油を使って焼いたパンは、驚くほどしっとりと柔らかく仕上がり、時間が経ってもパサつきにくいのが魅力です。バターよりも酸化しにくいため、油特有の臭いも出ません。少し高価ですが、ワンランク上のふわふわパンを目指すならぜひ試してほしいオイルです。

バターに近い使い勝手の【固形油脂】

次に、バターと同じように常温では固まっている「固形油脂」の代用品を見ていきましょう。これらはバターに近い役割を果たしてくれるため、パンの膨らみやボリュームを出したいときに適しています。

マーガリン

バターに最も近い感覚で使えるのがマーガリンです。水分量や油脂の性質がバターと似ているため、レシピの分量をそのまま置き換えても大きな失敗がありません。バターよりも安価で手に入りやすく、柔らかいため生地に練り込みやすいというメリットもあります。

仕上がりはバターに比べてややあっさりとしていますが、ふんわりと柔らかいパンが焼けます。「バターの風味が少し重たい」と感じる方や、コストを抑えてたくさん焼きたい方にはぴったりの代用品です。

ショートニング

ショートニングは植物油を原料とした無味無臭の純粋な油脂です。バターやマーガリンと違い、水分や乳成分を含まないため、雑味のないクリアな味わいのパンになります。

最大の特徴は「サクサク」「軽い」食感が出せることです。パンの皮(クラスト)はパリッと、中はふんわり軽い食感に仕上がります。サンドイッチ用の食パンや、軽い食感の菓子パンによく使われます。風味がないため、小麦の味をダイレクトに感じたいときにもおすすめです。

ココナッツオイル

独特の甘い香りが特徴のココナッツオイルも、バターの代わりに使用できます。20℃~25℃以下では固形、それ以上の温度では液体になる性質を持っています。

ココナッツの甘い香りがパンに移るため、シナモンロールやあんぱん、甘い食パンなどの菓子パン系との相性が最高です。逆に、お惣菜パンや食事パンには香りが合わない場合があるので注意しましょう。仕上がりはサクッとした歯切れの良い食感になります。

風味や食感を変える【ユニークな代用品】

油そのものではありませんが、油脂を含んでいる食材を使うことで、パンに独特の風味や食感を与えることができます。冷蔵庫にある身近な食材で試してみましょう。

マヨネーズ

「えっ、マヨネーズ?」と驚くかもしれませんが、マヨネーズは植物油、卵、酢で作られているため、パン作りに必要な材料が揃っている優秀な代用品です。

生地に混ぜ込むと、酢の働きで生地が柔らかくなり、乳化された油のおかげでふんわりとした食感になります。焼き上がりに酸味はほとんど残らず、ほんのりとした塩気とコクがプラスされます。ハムロールやコーンパンなどのお惣菜パン生地に使うと、旨味が引き立ち非常においしく仕上がります。

ヨーグルト(プレーン)

油脂の完全な代用ではありませんが、油脂の一部をヨーグルトに置き換えることで、ヘルシーでしっとりとしたパンを作ることができます。ヨーグルトの水分と酸味が、生地に潤いを与えます。

焼き上がりは「もちもち」とした弾力のある食感になり、さわやかな風味が楽しめます。ただし、ヨーグルトだけでは油分が足りず、ボリュームが出にくくなることがあるため、少量のサラダ油と併用するのがおすすめです。

生クリーム

リッチで濃厚なパンを作りたいときは、バターの代わりに生クリームを使ってみましょう。生クリームには乳脂肪分がたっぷりと含まれているため、油脂としての役割を十分に果たします。

「生食パン」のように、耳まで柔らかく、ミルキーで甘みのある贅沢な味わいになります。水分量も含まれているため、レシピの水分(水や牛乳)を少し減らして調整する必要がありますが、お店のようなリッチなパンを目指すなら試す価値ありです。

代用する際の【分量と投入タイミング】

バター以外の油脂を使う場合、最も大切なのが「いつ入れるか」というタイミングです。ここを間違えると、生地がまとまらなかったり、ベタベタして扱いにくくなったりします。

代用するときの分量の目安

基本的には、バターの分量と同じ重さ(グラム数)で置き換えて大丈夫です。

例:バター20gのレシピなら、サラダ油も20g

ただし、サラダ油やオリーブオイルなどの液体油脂は、バター(水分を含む)よりも油脂成分が100%に近いため、同量入れると少しオイリーに感じることがあります。気になる場合は、バターの分量の80%〜90%程度に減らして調整しても良いでしょう。

液体の油を入れるタイミング

ここが最大のポイントです。サラダ油やオリーブオイルなどの「液体の油」は、最初の段階で水と一緒に粉に入れて混ぜ合わせます。

バターなどの固形油脂は、生地がある程度こね上がってから後入れするのが一般的ですが、液体の油を後から入れようとすると、生地の表面を滑ってしまい、なかなか混ざりません。生地が分離してベトベトになり、こねるのが非常に大変になってしまいます。液体の油を使うときは、必ず「最初から入れる」ことを覚えておきましょう。

固形の油脂を入れるタイミング

マーガリン、ショートニング、固まっている状態のココナッツオイルなどの「固形の油脂」は、バターと同じように、生地がある程度まとまってグルテンができ始めてから投入します。

最初から粉と一緒に混ぜてしまうと、油脂が粉をコーティングしてしまい、グルテン(パンの骨格となる粘り)の形成を邪魔してしまいます。ふっくらとしたボリュームのあるパンにするために、固形油脂は後入れが基本です。

油脂を変えることによる【メリットと仕上がりの変化】

最後に、バターから他の油脂に変えることで得られるメリットや、仕上がりの具体的な違いを整理しておきましょう。作りたいパンのイメージに合わせて使い分けるのがおすすめです。

ふんわり感とボリューム

パンの「ふんわり感」や「高さ」を重視するなら、ショートニングやマーガリンなどの固形油脂が有利です。固形油脂には、生地の中で薄い膜となり、焼いたときに伸びて空気を含ませる「可塑性(かそせい)」という性質があるため、ボリュームが出やすくなります。

一方、サラダ油などの液体油脂は、生地の伸びは良くなりますが、縦に膨らむ力は固形油脂よりやや弱めです。その分、しっとりとしたソフトな食感になります。

味と香りの違い

バター: 芳醇な香りと強いコク。リッチな味わい。
サラダ油・ショートニング: あっさりシンプル。小麦や具材の味を引き立てる。
オリーブオイル・ココナッツオイル: 素材特有の香りがつく。風味を楽しみたいパン向き。
太白胡麻油: 無味無臭だが、素材の旨味を引き出し、雑味のない上品な味になる。

翌日の状態(老化のスピード)

焼いた次の日のパンの状態も変わります。バターは冷えると固まる性質があるため、翌日のパンは少し締まった食感になります(トーストすると戻ります)。

対して、太白胡麻油やサラダ油などの液体油脂は、冷えても固まらないため、翌日でもパンが柔らかいまま保たれやすいという大きなメリットがあります。サンドイッチなど、冷たいまま食べるパンには液体油脂が非常に適しています。

まとめ

パン作りにおいて、バターがないことは決してマイナスではありません。サラダ油を使えば手軽にあっさりとしたパンが、オリーブオイルを使えば風味豊かなパンが、太白胡麻油を使えば翌日までしっとり柔らかいパンが焼けます。

大切なのは、代用する油脂が「液体」か「固形」かによって、生地に混ぜ込むタイミングを変えることです。液体の油は最初から水と一緒に、固形の油脂は生地ができてから後入れしましょう。

「今日はサクサクにしたいからショートニング」「お惣菜パンだからマヨネーズを入れてみよう」といったように、その日の気分やパンの種類に合わせて油脂を使い分けることができれば、あなたのパン作りはもっと自由で楽しいものになるはずです。ぜひ、色々な代用品を試して、お気に入りの食感を見つけてください。

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